在日朝鮮人らを対象にした「帰還事業」で北朝鮮に渡航し、過酷な生活を強いられたとして脱北者ら4人(遺族含む)が北朝鮮政府に計4億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審で、東京地裁は26日、計8800万円の賠償を命じた。神野泰一裁判長は、虚偽の勧誘による渡航と自由な出国を許さなかった留置はいずれも「継続的不法行為」に当たるとし、「原告らは人生の大半を奪われ、精神的・肉体的苦痛は甚大」と述べた。
判決は、北朝鮮が国内の食料・住宅事情の深刻さを把握しながら、朝鮮総連や朝鮮学校などを通じ国家的施策として「地上の楽園」と宣伝し、1960~72年に渡航させたと認定。原告らは劣悪な環境下での生活を強いられ、2001~03年に脱北するまで居住地選択や出国の自由を侵害されたとした。
国交のない北朝鮮に対する賠償命令は初めて。判決は公示送達で示され、確定後も支払いの見通しは不透明だが、原告側は国内資産の差し押さえなど回収手続きを検討するとしている。
