金正恩・北朝鮮国務委員長の身辺警護を担う中枢幹部が、ここ2~3年で相次いで交代していたことが明らかになった。最高指導者の安全を最終的に担保する護衛・警護部隊の責任者は、職務の性格上、重大な不祥事でもなければ交代しないのが通例だ。今回の一斉交代は、水面下で看過できない「事故」や失策があった可能性を強く示唆している。

韓国統一省が13日に公開した「北韓主要人物情報2025」などによると、党護衛処処長はハン・スンチョルからソン・ジュンソルへ、国務委員会警衛局長はキム・チョルギュからロ・ギョンチョルへ交代。さらに金正恩の近接警護を統括する護衛司令官も郭昌植(クァク・チャンシク)からラ・チョルジンに替わった。正確な時期は不明だが、いずれも最近2~3年の間に行われたとされる。

昨年10月、韓国国家情報院は国会報告で「北朝鮮が金正恩暗殺の脅威を強く意識し、警護水準を引き上げている」と指摘していた。

北朝鮮情勢に詳しい消息筋は「かつて尹正麟(ユン・ジョンリン)は金正日、金正恩の2代にわたり12年間も護衛司令官を務めた。護衛トップの同時交代は、重大な事故や責任問題を意味する」と語る。韓国発の軍・民間無人機が平壌上空に侵入した事案が、責任追及に直結したとの見方もある。

(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も”残酷な夜”

一方で、ロシア派兵に関与した将軍たちは相次いで要職に抜擢された。国防省と総参謀部では第1副相、第1副総参謀長のポストが2人体制に拡大され、派兵を主導したとされるキム・ヨンボク、チャ・ヨンボムらが中枢に食い込んだ。派兵を「自らの業績」と位置づける金正恩が、功労者を厚遇している構図だ。

このほか軍権力の再編も進む。軍部序列1位とされた李炳哲(リ・ビョンチョル)から、朴正天(パク・チョンチョン)への権限集中が鮮明になった。対南路線でも象徴的人物の金英哲(キム・ヨンチョル)が表舞台から後退し、関連外郭組織の整理も進んでいる。体制内部で進む「選別と粛清」の行方が注目される。