韓国の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相は2日、「李在明政権は朝鮮民主主義人民共和国の体制を尊重する」と述べた。北朝鮮が用いる正式な国号をそのまま使い、体制尊重を公に表明したのは韓国の現役閣僚として初めてとみられる。政府内からは「統一相なのか、北朝鮮の統一戦線部長なのか」「北朝鮮を主権国家として認めるのか」といった批判的な声も出ている。
鄭氏は同日、ソウル市鍾路区の政府ソウル庁舎別館で開かれた2026年の統一省仕事始め式後、北朝鮮に向けた新年のあいさつを述べる中で発言した。背景には、北朝鮮側への強い忖度があるとの見方が出ている。金正恩総書記が「敵対的二国家論」を打ち出して以降、北朝鮮は国際社会に対し正式国号で呼ぶよう求めてきた。2024年10月の米ニューヨークでの国連総会でも、韓国が「ノース・コリア」と呼称したことに対し、「DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)」を使うよう抗議していた。
鄭氏は李政権の統一政策について、「朝鮮半島の統一は漸進的・段階的・平和的に進める」と説明。「北側が警戒してきた『ドイツ式の体制統一』は排除し、相互のいかなる攻撃的・敵対的行為も一切拒否する」と述べ、「我々が望むのは吸収や圧迫ではなく、平和共存そのものだ」と強調した。これに対し、元統一省高官は「『平和共存』を強調するのは、統一を目指さず分断状態を固定化する発想で、韓国憲法の精神に反する」と批判している。
また鄭氏は、「対話と協力を通じ、北側の地方発展や保健革命、さらには南北共同発展のための大規模協力事業を推進する準備がある」と述べ、周辺国と連携し、北朝鮮の元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区と白頭山・三池淵(サムジヨン)観光地区を結ぶ越境プロジェクト構想にも言及した。鄭氏はこれまでも「対北制裁無用論」を唱えており、制裁維持を重視する米国との温度差が指摘されている。
