北朝鮮の金正恩総書記の「執事役」とも呼ばれ、長年にわたり外交分野の要職を担ってきたキム・チャンソン国務委員会部長が死去した。朝鮮中央通信が26日、金正恩氏が前日に弔花を送り、「深い哀悼の意」を表したと伝えた。死因は明らかにされていない。
同通信はキム氏について、「偉大な首領たちの特別な愛情と大きな信頼の中で、党と国家の重要な職責を長年にわたり担ってきた人物だ」と評価。「常に誠実で堅実な姿勢で、わが党の権威を擁護し、国家の対外的威信を高めるうえで特出した貢献を果たした」と称えた。
キム氏は1944年、咸鏡北道明川の出身とされる。金正恩氏の身近で補佐役を務め、南北交流や各種外交日程の場にたびたび姿を見せてきた。2018~2019年に行われた米朝首脳会談をはじめ、朝中、朝露首脳会談の際には、事前に現地を訪れて会場や動線を確認するなど、実務面で中心的な役割を果たした。
また、2018年の平昌冬季五輪に金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が高位級代表団として訪韓した際には、随行スタッフとして同行。同年4月の南北首脳会談に向けた「儀典・警護・報道」分野の実務協議では、北朝鮮側の首席代表として出席し、韓国側との協議に当たった。
キム氏は、金正恩氏の父である故・金正日書記の時代から側近として仕え、金一族の私生活を支える役割を担う書記室に所属していた。金正恩氏の政権発足後には、最初の書記室長に起用されるなど、厚い信頼を受けていたとされる。
