こうした動きから、北朝鮮による無人機製造関連の労働者派遣は、外貨獲得に加え、自国の兵器製造産業と直結した戦略的目的を持つとみられる。金正恩総書記は昨年11月、北朝鮮独自の「自爆ドローン」の生産拡大を指示している。
アラブガ特別経済区で生産されるゲラン2が使い捨て型の自爆ドローンである点を考慮すると、北朝鮮が同様の生産能力を高めるため、この事業に労働者を投入している可能性は高い。アラブガでは当初、イランの軍事組織と「フランチャイズ」形式でシャヘド無人機を生産していたが、その後は独自の生産体制を確立し、設計改良も進めてきた。
こうした専門技術が、今後この拠点に配置される北朝鮮の労働者や技術者に移転される可能性があり、北朝鮮が海外派遣と同規模で国内の無人機生産能力を拡大した場合、将来、朝鮮半島で有事が発生した際に大きな脅威となる恐れがある。
