――賃上げ後、企業所の生産方式や人事評価制度は変わったか。

「賃金が上がったからといって、大きく変わったことはありません」

――成果に応じた分配はあるのか。

「市場でよく売れる良い製品を作らなければ、成果分配はありません」

――物価高についてどう感じているか。

「賃金が上がったのは事実ですが、物価の上昇の方が激しく、不満が多いです。コメ、油、燃料、石炭など、すべてが値上がりして追いつけません。中でもドルが高すぎて、北朝鮮ウォンでは生活が成り立ちません。外貨を持っている人だけが得をしたと言われています。賃上げが助けになる人も一部にはいますが、根本的な解決策ではないという空気です」

――今後、賃金はどうなると思うか。

「政府が賃金を再び下げることはできないでしょう。ただ、職場の賃金だけで生活できないのが現実です。何とかして商売や別の方法で稼ぐしかありません」

賃上げという大きな政策転換にもかかわらず、物価高と為替不安に押し流され、北朝鮮労働者の生活改善は依然として遠いままとなっている。