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北朝鮮住民を抑圧する統治手段として活用されている「党の唯一思想体系確立のための10大原則」(以下、10大原則)の一部内容が修正されたという。金日成に対する絶対的な忠誠を強要する内容は維持したまま「金正日将軍様」という文句が各原則と細部条項に挿入され、金正日偶像化を強化している。

咸鏡北道の内部消息筋は9日、デイリーNKとの通話で「先週、各道党会議で新しい『10大原則』が伝達された。先週末に企業所別に開かれた政治講演会で新しい10大原則の学習が始まり、今週末からは各人民班会議でも学習が始まる嵐閨vと話した。夏休み中の学生の場合、9月の学期開始以降に本格的な学習が開始するものと思われる。

消息筋はさらに「まだ新しい10大原則を盛り込んだ公式な冊子が製作されてはいない。幹部らが所持する文献を通し口頭で伝達されている」とし、内容については「以前の10大原則と大きく変わった部分はなく、首領様(金日成氏)の名前の後に金正日将軍様という文句が挿入された」と説明した。

さらに「10大原則の2条『偉大な首領様金日成同志を忠誠で高く仰ぎ奉らなければならない』が『偉大な太陽金日成同志と金正日将軍様を忠誠で高く仰ぎ奉らなければならない』に修正された。金正日将軍様という文句を挿入したのは金正日が金正恩の父親であるためであり、金正日に対する永久的な偶像化を勧めている」と話した。

また「洪水被害の復旧をはじめ各種動員事業が続いているが、そんな中でも新しい10大原則を暗唱するよう幹部に指示している」と現地の様子を紹介した。

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今回の10大原則の改正を通し、北朝鮮の3大統治規範で「金正日偶像化」を成文化し、これを守らない場合処罰や物理的抑圧を可能とする根拠作り作業が事実上完了したものと評価される。

総体的革命路線といえる労働党規約(2010年改正)、労働党の指導を受ける軍と国家機関規範である憲法(2012年改正)、最高指導者に対する住民らの総合行動規範である10大原則などにおいて、全て金正日を金日成と同格化する作業が完成したことになる。

一部ではこうした10大原則の修正により、内部での住民統制が強化されるのではとの指摘が出ている。

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北韓人権情報センターのユン・ヨサン所長はデイリーNKに「北朝鮮が数十年間神聖視してきた10大原則に手を加えたということ自体が非常に驚き。新しい10大原則により北朝鮮当局が思想事業にさらに多くの関心を寄せる場合、社会統制が強化され人権侵害が深刻化する可能性が高まる」と展望した。

一方、1974年4月、後継者の金正日によって発表されたものとされる10大原則は「偉大な首領金日成同志の革命思想で全社会を一色化させるため全身で闘争しなければならない」(1条)をはじめとし、合計10項目の原則で構成されている。10項目の原則に続き各原則の意味を補充説明する細部項が少なくとも3項目、多くて10項目まで存在する。細部項は各原則に基づく具体的な行動準則が提示されている。

10大原則は北朝鮮の公式法律体系には含まれないが、首領独裁体制の特性上、任意に解釈され刑法処罰よりも厳重な処罰根拠として活用されている。そのため北朝鮮の住民だけでなく幹部らも刑法や民法よりも10大原則の遵守を重要視してきた。実際、北朝鮮内の政治犯収容所の囚人の大部分は10大原則を破り収容されたと脱北者らは証言している。北朝鮮住民の人権を弾圧する根拠として作用しているとの指摘である。