国連加盟193か国すべてを旅したデンマーク出身の旅行家が、北朝鮮滞在中に経験した「極限の統制と緊張」を公開し、話題となっている。

英デイリーメール(4日付)によると、27歳で全加盟国訪問の最年少記録を樹立したヘンリク・イェフセン氏(37)は、最近公開したブログで北朝鮮滞在時の詳細を記した。

イェフセン氏は「中央アフリカ共和国など危険地帯も何度も訪れたが、北朝鮮はまったく別次元だった」と述べ、些細な行動が即拘束につながり得ると強調した。

同氏によると、北朝鮮ではインターネットアクセスや移動が徹底的に制限され、さらに大気汚染による健康被害のリスクも大きいという。「自由がほとんどなく、大気質も最悪。世界で最も住みたくない国だ」と評した。

旅の途中、北朝鮮の案内員の監視から一時的に外れた際、同行者がツアー仲間の遺骨をこっそり撒いたことが問題化。案内員から明確に禁止されていたにもかかわらず、同行者はその様子を撮影しながら一部を地面に撒いたという。

イェフセン氏は、かつてアメリカ人学生オットー・ワームビア氏が軽微な行為を理由に重刑を受けた事例を想起し、「自分たちも拘束されるのでは」と恐怖を感じたと振り返る。

(参考記事:死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

最終的に同行者は「敬愛する指導者への謝罪文」を提出し、出国が許可された。しかし空港では職員らが「国家を汚染した」と非難しながら二人を取り囲むなど、最後まで緊迫した状況が続いたという。

イェフセン氏は「外国人を拘束すれば国際的注目を浴びる。その点が我々には有利に働いたのかもしれない。生きて帰れたのは幸運だった」と語っている。

北朝鮮では過去にも、外国人が軽微な行為で重い刑罰を受けた例がある。ワームビア氏は2016年、ホテル内で宣伝物を持ち出そうとしたとして15年の労働教化刑を宣告され、17か月後に昏睡状態で送還され死亡した。

北朝鮮はワームビア氏の悲劇的な死に、重大な責任を負うべきであることは言うまでもない。しかし、北朝鮮の国情が特殊であることは広く知られている。「明確に禁止」された行為を外国人に許せば案内員ら担当者たちも責任を追及されかねない。皆の安全のため、そのような行為は慎むべきだろう。