北朝鮮国営の朝鮮中央通信は28日、朝鮮半島周辺で米国が韓国などと実施している軍事演習について、「戦略的安定を重大に脅かす無謀な軍事的蠢動」と強く批判する論評を発表した。米国の行動が地域情勢の不安定化を招いていると主張した。

論評は、米韓が今月、京畿道平沢周辺で海上・空中戦力を動員して対特殊作戦訓練を実施したほか、米空軍がF16戦闘機を烏山空軍基地に追加配備した動きを取り上げた。北朝鮮側は、首都ソウルから約64キロと近い烏山基地に戦力を前進配置したことについて、「われわれと地域諸国を力で抑止し、有事に空中優勢を確保する狙いは周知の事実」と非難した。

また、朝鮮半島にとどまらず、米韓がグアム周辺で対潜水艦訓練「サイレント・シャーク」を実施したことや、米海兵隊が台湾に近い日本・与那国島に武装・給油拠点を設置したとする報道に触れ、「自主的な主権国家を狙った軍事演習と武力増強行為だ」と警戒感を示した。

さらに米国が日本や韓国とともに、12月初旬に日本周辺海域で「拡散に対する安全保障構想(PSI)」訓練を実施する計画についても、「合法的な航行権を侵害し、全面的な海上封鎖を実現する目的だ」と批判した。

論評は、「地域情勢不安定の原点がどこにあるか、米国こそが『一方的な現状変更』の行為者だ」と指摘。米国は「好戦性と攻撃性を隠せず、武力衝突の可能性を高める悪性因子だ」と断じた。

北朝鮮は、脅威と判断した対象は「正照準圏内に入り、必要な方式で管理される」と警告。米国が軍事力の示威行為を続ける場合、「国権と国益を守る権利行使として、平和と安定の守護に一層専念する」と主張した。