北朝鮮の金正恩総書記が国家保衛省、社会安全省、最高裁判所、最高検察所など公安・司法機関を相次ぎ訪れ、体制守護の役割を強調した。朝鮮中央通信が19日に報じた。

報道によれば、金委員長は前日の創設80周年を機に国家保衛省を祝賀訪問し、李昌大(リ・チャンデ)国家保衛相の出迎えを受けた。祝賀文を手渡したうえで、金委員長は「党と国家を守護する闘争の前衛で革命的信念と忠誠を貫き、階級的使命感を持って献身している保衛戦士に戦闘的あいさつを送る」と述べ、同省の功績を高く評価した。

さらに、「歴史に類例のない変革と勝利の記録は、階級闘争の前衛として革命守護の道を歩んできた保衛幹部の功労なくして考えられない」と称賛。「保衛機関は党の揺るぎない同志であり、確固たる支援者だ」と強調した。

国家保衛省は国内の思想動向や“体制脅威”を監視・摘発する北朝鮮の中枢機関で、全国に張り巡らされた監視網を通じて住民の言動を把握することで知られる。KCNAは同省を「主権と社会の政治的安定を守る強力な堡塁」と形容した。北朝鮮の最高指導者が同省を公式訪問するのは極めて異例で、今回の動きが内部結束を固める狙いとの見方が強い。

公開された写真には、金委員長が“後継者”として活動していた2009年4月など、同省を複数回訪れた事実を示す標識が写っており、過去からの密接な関係を示唆した。

金委員長はまた、韓国の警察に相当する社会安全省も訪問。「社会安全軍は共和国の二大核心武力であり、その戦いの足跡は党の歴史に輝いている」と述べ、治安部隊の役割を強調した。社会主義制度の維持と住民統制を担う同省に対し、「法と武装で党と政府を支える重大な使命を負っている」と評価した。

最高裁判所と最高検察所では、「国家の全般的発展期は司法・検察機関にとっても新たな全盛期だ」と述べ、「党の思想を徹底して具現化し、社会主義法制度をさらに強化せよ」と指示した。

金委員長が体制維持の中枢機関を立て続けに訪れ激励した背景には、住民統制の強化があるとの分析が出ている。規律や社会主義秩序の引き締めを通じ、内部統制を一段と厳格にする意図が読み取れる。