韓国警察は、市民団体「反日行動」の代表を含む関係者5人を国家保安法違反の疑いで検察に送致した。警察によれば、5人は北朝鮮の主張に同調する集会や宣伝活動を行い、当局が「利敵表現物」と判断した資料を所持していたとされる。

ソウル警察庁安保捜査課は16日、反日行動代表の鄭氏ら5人を先月28日付で在宅のまま送致したと発表した。鄭氏らは、在韓米大使館前などで米韓合同軍事演習を「北侵戦争演習」と糾弾する集会を繰り返し、国家保安法の廃止を求めるデモを展開してきた。警察は「主張の内容が北朝鮮の宣伝と実質的に同一」と判断し、北朝鮮への同調行為に該当するとみている。

国家保安法は、反国家団体やその指令を受けた者の活動を称賛・鼓舞・宣伝し、これに同調する行為を禁じている。反日行動は捜査段階で黙秘を続け、鄭氏は出頭要請に応じず今年6月に一時拘束されていた。

「反日行動」は、従軍慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」前での長期座り込みで知られる。2015年の韓日慰安婦合意に反発して開始した同団体の路上での宿泊抗議は約10年間続いたが、今年7月、国家保安法違反容疑の捜査強化を理由に撤収した。同団体は、姉妹組織とされる「民衆民主党」とともに、在韓米大使館前での単独抗議行動も取りやめている。

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民衆民主党は北朝鮮寄りの主張を掲げて活動してきたとされ、同党の前身団体「コリア連帯」の幹部は過去に国家保安法違反で実刑判決を受けている。警察は反日行動を同党の下部組織とみなし、関連団体への捜査を拡大している。

警察関係者は「北朝鮮の宣伝と一致する主張を繰り返す行為は、国家の安全を損なう恐れがある」として、今後も関連団体の動向を注視する方針だ。