「期待より、むしろ心配の方が大きい」――軍関係者のこの一言が、韓国が直面する原子力潜水艦(以下、原潜)計画の実態を象徴している。先月、ワシントンで行われた韓米首脳会談で、韓国は「自国で建造するから、米国に核燃料を供給してほしい」と求めた。これに対し、トランプ米大統領は「承認する。フィラデルフィア造船所で造る」と明言。両国の認識の差は天地の開きがある。

韓国政府は今のところ、原潜建造に楽観的な姿勢を崩していない。国防省は「原子炉や武装システムなどの核心技術を確保中であり、安全性検証も進行中だ。2020年代後半に建造段階へ入り、2030年代半ばに先導艦の進水が可能」と説明している。
だが、軍事・造船関係者の多くは「再設計から試験、原子炉搭載までの一連の工程は、想像をはるかに超える難度」と指摘する。

通常型潜水艦をオートバイにたとえるなら、原潜はF1レーシングカーに匹敵すると言われる。両者は“海中を航行する”という点以外、共通点を見つけるのが難しい。原潜は高圧下で作動する小型原子炉を搭載し、長期間の潜航能力と静粛性を維持しなければならない。

設計の核心は、原子炉冷却系統と放射線遮蔽構造、さらには安全弁や制御装置の配置である。どれか一つでも設計上の誤差があれば、海中での致命的事故につながる。米英ではこの設計に3~4年を費やすとされる。

韓国は1990年代、ロシアのOKBM社から潜水艦用原子炉の設計図や計算コードを入手し、これを基に「スマート原子炉」技術を開発したとされる。しかし現状は実験室レベルにとどまり、実際の建造・試験・運用までには10年以上の歳月が必要と見られる。

(参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

また、米国との原子力協定見直しなどに手間取り、核燃料供給や技術協力が滞れば、原子炉完成の目途すら立たない。英国は米国の協力を得て4年で原潜建造に成功したが、フランスは独自開発で13年、インドは25年以上を要した。韓国の「2030年代半ば進水」という目標は、これらの先例を踏まえるとかなり楽観的だ。

韓国の防衛産業関係者は「原潜は単なる国威の象徴ではなく、国家の総合技術力を試す事業だ」と語る。外交・技術・財政という三つのリスクを抱えた“国家的賭け”が、果たして現実になるのか。注目が集まっている。