北朝鮮が最前線軍事境界線(MDL)警備と捜査を担当する民警部隊兵士らの身分条件をさらに強化したことが明らかになった。
民警部隊はいわゆる「階級的土台(出身成分)」がよい軍人を中心に選抜・配属されてきたが、昨年DMZ北朝鮮軍の韓国行きが多発したことを受け、金正恩が身分条件の強化を直接指示したとされる。
北朝鮮平安北道新義州の消息筋は10日、デイリーNKとの通話で「最近、軍事境界線を担当する4、2(西部)、5、1(東部)軍団の民警部隊に対し、革命性が強く階級的土台がよい軍人を優先的に配置せよとの命令が下された。地方に駐屯中の党幹部の子弟らが優先的に選抜され民警部隊に異動されている」と伝えた。
消息筋は「以前は家庭の身分がよく家族の中に保衛部や保安員出身者がいると民警に選抜された。現在は選抜条件が強化され、政治的問題だけでなく経済事犯などで教化所(刑務所)に行ったことがある家族がいると民警選抜から除外される」と説明した。
このため民警部隊に入隊した後でも、家族の行方が疑われたり、経済事犯などの軽い犯罪で処罰を受けた場合も後方部隊に異動させられるという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面消息筋はさらに「現在地方にいる身分が優秀な幹部らは再選抜され、海州4軍団、開城2軍団、江原道1、5軍団に異動させられている。住民らは穴(北朝鮮兵士が脱北したことを意味)が開いた最前線部隊が兵士を再選抜しているが後の祭りと話している」と紹介した。
消息筋によれば、民警部隊に追加選抜された兵士らの反応は多様だという。前線勤務ではあるが早い昇格と除隊、その後の入党と大学入学という恩恵を受けるため総じて歓迎する雰囲気だが、地方で手厚い恩恵を受ける幹部クラスの子弟らはむしろ過酷な前線勤務を忌避しているという。
今年実施された3回目の核実験以降、民警部隊兵士らは6ヶ月近く戦闘靴を脱ぐこともできず、非常待機状態を維持した。最近では食糧配給状況もよくなく、昨年の東部前線からのノック帰順として有名なイム某氏(当時、中級兵士)は「空腹で葛の根を掘って食べた。塩の配給が不十分で久々に味わった塩から甘みが感じられるほどだった」と証言している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ソウル市陽川区に住む脱北者のイ某氏は「身分に問題がない兵士も北朝鮮と韓国の格差がひどいことを知りながら入隊する。人民軍に対する配給や勤務条件が画期的に改善されない限り、帰順事件は今後も発生するだろう」と話した。