北朝鮮当局は最近、「分組単位の縮小と生産物の7:3分配」など農場運営改善指針を試験的に実施する地域を指定。しかし同地域の土質や地形が営農が不可能なほどに劣悪なため、該当の農場員の不満が高まっていると消息筋が伝えた。
両江道恵山の消息筋は5日、デイリーNKとの通話で「恵山の一部地域が農場運営改善指針の試験実施対象地域となり農場員が投入されたが、傾斜が急だったり石が多いなど農業ができない状態。既存の農場には連日、軍隊と突撃隊などが動員され開墾事業を行っているが、トラクターや農機具が入り込めないほど斜面が急だったり石が多い場所が該当農場に指定され、農場員らは憤怒している。こうした状況にもかかわらず上(当局)では元帥様(金正恩氏)の『馬息嶺速度』などを導入すれば不可能性はないとして一年の計画を達成するよう強要している。農場員らは計画収穫量を達成できるわけがないとため息をついている」と話した。
消息筋によれば、北朝鮮は協同農場の作業分組単位を縮小(10~25人→4~6人)し、生産物の7割を除いた3割を農場員に分配するという農場管理改善措置を打ち出した。これは昨年一部地域で試験実施された「6.28経済管理改善措置」の一環と思われる。試験計画が発表された当時、農場員は一生懸命働けば自身の分け前が増えると期待もしたが、現在は当てにもしていない状況だという。
消息筋は「当初、農場員らは協同農場で生産物を現物で分配する政策を歓迎し、一生懸命働こうとしていたが、現在は以前の無気力な状態に戻った。協同農場に対する期待を捨てる住民が徐々に増えている」と話した。
食糧生産を増産するため土地の一部を農場員でない住民に貸与するとの方針の施行も遅延しており、当局の政策に対する住民の不信と不満も蔓延していると伝えられる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面消息筋は「(当局は)農場員でない個人に土地を賃貸すると言っておきながら、今となっては禁句となっている。一部の幹部らは『来年には必ず施行する』と話しているが、誰も信用していない。国家協同農場と分組縮小、個人用耕作地の配分などが入り混じり混乱している住民が多い。昨年から施行すると言っていた農業改革が未だにまともに施行されていないことについても 『当局が路頭に迷っている』『何も信用できない』と住民らは話している」と伝えた。
農業改革は「6.28方針」の核心事案であり、従来の協同農場体系では労働生産性が顕著に低下するとの認識の下に計画された。こうした政策が正常に実施されれば、個人の労働生産性が高まり生産量が増加するとの分析が提起されていた。
ある高位幹部出身の脱北者は「金正恩が住民の要求を受け入れ、転向的に経済改革を追及するとの寛大な決定を下さない限り、全面施行の可能性はないと思われる」と展望した。