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北朝鮮内部の様子を撮影したドキュメンタリー「囁きの地」が動画共有サイト「ユーチューブ」を通して公開され、2ヶ月間で80万以上の照会数を記録するなど全世界のネット市民の関心を集めている。動画を演出したクリスチャン・コーエン監督は2012年8月と9月、約10日間北朝鮮を訪問し平壌、清津、元山などの都市風景と住民の生活の様子を撮影した。デイリーNKはコーエン監督とEメールインタビューを実施した。

-最初からドキュメンタリー映画を制作する目的で北朝鮮を訪問したのか。
最初から北朝鮮を訪問し映像を撮影する考えだったが、映像をもとに何をするかは決めていなかった。実は北朝鮮で映画撮影が可能であることすら知らなかった。しかし旅行社の許しを得て北朝鮮内部を撮影することができた。旅行を終え帰国した後にこれをもとに映画を作ろうと考えるようになった。

-北朝鮮で直接映像撮影をする際に困難はなかったか。
とても苦労した。映像を撮影する際は北朝鮮側のガイドにその都度許可を得なければならなかった。許可を得た特定の方式で撮影をしてもガイドは細かく干渉し、作業がはかどらなかった。彼らは北朝鮮住民を撮影しようとするたびに、住民に向かって大声を出した。一方北朝鮮住民は自身たちを撮影することを許めるなど、積極的な態度を示した。

北朝鮮のガイドは私をスパイ呼ばわりしたりもした。彼らは私が撮影目的で入国することを事前に知っていた。ひとつでも多くの撮影装備を北朝鮮に持って入ろうとしたが、北朝鮮側が多くの装備を使用することを認めなかった。

-今回のドキュメンタリー映画は北朝鮮当局が外国人に見せつけようとする仮想の姿と、実際の北朝鮮住民の現実との違いが強調されている面が際立つが。
外国人専用の「仮想の姿」があるとは考えない。北朝鮮住民の生活様式から何が現実で仮想なのか、何が正しくて謝っているのか、何が真実で虚偽なのか、私たちに不正確に見える側面もあると考える。
北朝鮮住民は彼らが見聞きし経験するものを有りのままに受け入れるように感じられた。外国人の視点ではそれは非論理的で不当に思われるが。そのような態度が(当局による)報復を恐れてなのか、完全に洗脳されてなのかは判断が難しい。

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-映画の紹介コメントで北朝鮮と1930年代のソ連を比較した部分が目に付くが。
ソ連に住んだことはないが東ヨーロッパの旧共産主義国家で育った。北朝鮮はタイムカプセルのようにソ連の姿をそのまま保存しているようだった。ベラルーシの姿を想起させる汽車駅など視覚的にソ連の姿と似ていた。
特に国全体の色合いが乏しく、住民が灰色や暗い色の服や軍服を着ていた点でそうだ。アリラン公演も50、60年前のロシアオリンピック開会式の公演を見ているようだった。

-映画を見た人が北朝鮮住民の生活様式に関する部分に注目する反面、映像公開による北朝鮮当局の旅行統制や顔が公開された住民を危惧する視点もあるが。

映画制作時に可能な限り開放的で公正な視点を維持しようと努力した。他の多くのメディアのように北朝鮮に偽装潜入したりもしていない。誰かの頼みで映画を特定の目的に向けて演出したわけでもない。
北朝鮮住民が安全であることを願うが、北朝鮮の姿を正直に伝えたかった。そのため、(北朝鮮住民の露出を避けることは)不可能に近いことだった。映画は可能な限り客観性を維持していると考える。

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- 放送局に映画放映を依頼したことはあるか。
今回の映画と関連し複数の会社やメディアと協議を行ったが、全て拒否された。TVを通して映画が放映されればいいのだが。多くの人に映画を見てもらいたい思いだった。現在多くの人が見てくれ、反応も総じて肯定的だ。
インターネットサイト「Pirate Bay(http://thepiratebay.org)」が映画をメインページに掲載してくれ、さらに多くの人々が映画を見てくれるようになった。映画をみた後、多くの人々が翻訳を買って出てくれ、現在まで10、11の言語字幕で映画鑑賞が可能となった。結果的にTVで放映されるよりも多くの人々が視聴したと思われる。