真冬の中朝国境地域は、草木が消えた尾根に吹き付ける風が冷たい。幾重もの綿入れ服を着こんでも、住民たちは肩をすくめている。
だが、零下20度に迫る酷寒期でも、国境地域の村の煙突からは煙が出ていない。凍えた体を暖めることもできず、苦痛がつのるばかりだ。
急騰した物価に、庶民たちの気持ちが安らぐこともない。市場の越冬用の品物の価格が去年に比べて50~100%上昇した。
4人家族が冬を越すための最低の暖房費は10万ウォン以上であると推定される。そのため、冬になれば石炭泥棒が増える。
今年の冬は白菜の値段が上がり、キムチの漬け込みができなかった家も増えた。12月に平壌のソンMョ区域の市場では、中国産の白菜1株が500ウォンだった。北朝鮮の住民たちにとって、キムチの漬け込みは‘キムチ’以上の意味を持つ。冬のおかずが全くない状況だから、キムチが食糧なのである。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面キムチの漬け込みができなければ、1月-2月は野菜を見ることさえ難しくなる。11月末から3月末まではキムチで堪えなければならない。1人当り最低100キロ程度の白菜や大根を確保できれば、冬の食糧を心配しなくてすむ。塩や唐辛子粉、調味料まで考えると、4人家族1世帯で、キムチの漬け込み費用は20万ウォンを超えることになる。
一般の住民にとっては、1キロ1,300ウォンを上下する米の価格も相変らず心配のたねだ。とうもろこし1キロが500ウォンを超えている。それでも、住民の足は常にせわしい。“座っている英雄よりは歩き回る犬の方がましだ”というスローガンは人々の足を市場に向かわせ、自らお金を稼ぐことを督励している。
生存に対する住民の力強い要求によって、交通は発展し続けている。80年代と比べることはできないが、今では子供も自転車に乗り、各種の’車’が客を待つ。駅員にわいろを与えれば、汽車の切符を求めることも難しくない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面中国の丹東で会ったチェ・クムスク(仮名)さんは、“今、人民の不満は‘どうして幹部たちは食べて暮らすために歩き回る人民を、このように統制するのか?’ということだ”と語った。彼女の言葉には重い意味が込められている。
“私もこうして歩き回って、私たちがどうしてこのように暮らすことができないのか、理由が分かるようになりました。歩き回ることが多いから、目に見えることも多くて、目に見えることが多くなったら、考えも変わるということです。核やら先軍やら、もう人民は‘開放する’という言葉でなければ、(国家政策に対して)何も信じません。人民はもう、それぞれ生きて行く方法を悟ったので、国家が制度さえ変えてくれればよいのではないですか”