金日成の誕生日(太陽節)を翌日に控えた今月13日、咸鏡北道茂山郡の中心街にある金日成、金正日の姿を形象化した大型モザイク壁画が強風で崩壊するという事件が発生。これと関連し北朝鮮当局は脱北者の家族に対する弾圧を一層強化していると内部消息筋が伝えた。

今回の事件は脱北者の家族とは関係のない手抜き工事が原因とされるが、当局は住民の体制護衛に対する警戒心を高める契機にしようと、罪のない脱北者の家族を捜査の対象に仕立て上げようとしている。

咸鏡北道の消息筋は25日、デイリーNKとの通話で「最近、道保衛部は『敵対分子の蠢動を徹底して叩きのめし首領決死護衛に立ち上がらなければならない』とし、新たな敵対階層として浮上した脱北者の家族に対する尋問と監視を強化している」と話した。

消息筋はさらに「道保衛部から派遣された捜査官は脱北者の家族を対象にモザイク壁画崩壊当時の行動と不法通話内訳を問いただしている。道保安部2部(旅行証発給部署)には脱北者の家族の名簿が送られ、彼らの他地域への旅行や出張を徹底的に禁止するなど一挙一動が細かく監視されている。地方に追放される家族も少なくない」と話した。20日頃には茂山に住む、韓国に脱北した脱北者の家族3世帯が咸鏡南道の山奥に追放されたという。

脱北者の家族を尋問する過程で捜査官が知り得た韓国内に住む脱北者の具体的な情報なども公開されているという。尋問を受けた家族でさえ知らない韓国内脱北者の住所や電話番号、職業を根拠に通話事実を問いただしている。

そのため脱北者の家族は弁解することもできないまま山奥に追放されている。明日は我が身と恐怖におびえながら暮らしていると消息筋は伝えた。

これは2月中旬に摘発された、華僑出身の偽装脱北スパイのユ某氏が北朝鮮保衛部に渡した脱北者らの個人情報など、韓国から流出した脱北者情報を北朝鮮保衛部が確保している実例へとつながる。

金氏父子のモザイク壁画崩壊の影響で国境地域での不法通話者、密輸常習者に対する摘発の動きも相次いでおり、「摘発されれば敵対分子として処分される」と中国との交流が活発だった住民も活動を縮小させた。

ただ、住民は強風により壁画が崩壊した事実を知っているため、保衛部による敵対分子捜査に対し「罪は手抜き工事をした人にあるのに何故罪のない人々を奥地に追いやるのか」と当局を非難している。