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金正恩体制発足から2年目となるが、北朝鮮当局が進める金正恩に対する偶像化事業の熱気は冷めていない。通常、北朝鮮では講演要略と学習要略などを通し、党・軍及び内閣幹部のみならず一般住民に対しても党の政策・路線とともに偶像化教育を行なう。そのほとんどは金正恩を偉大な指導者と賞賛する内容だ。

デイリーNKが最近入手した講演要略と学習要略の影像を通し、金正日が死去し金正恩が権力を継承した昨年1月以降、彼を最高指導者として奉る偶像化が本格化したことが分かる。金日成と金正日の功績を賞賛し、3代世襲を正当化する内容も見られる。金日成と金正日が社会主義強盛大国建設に邁進してきたため、それを継承した金正恩のみが「金氏父子」の偉業を完遂できるという白頭血統継承を正当化する理論である。

金正恩はまた、祖父の金日成と同一視されている。金正恩が執権して以来、祖父の金日成の郷愁を呼び起こす「イメージメーキング」を試みてきたこともこれと関係がある。現地指導や現地視察などでの金日成を真似た服装と仕草をはじめ、演説スタイルまでも「金日成ごっこ」を徹底した。

2012年1月に発刊された職盟学習要略の最初のページには「題名1 偉大な将軍様が職盟内に解説講義体系を樹立され指導してきた不滅の領導業績について」と、「題名2 敬愛する金正恩同志がいらっしゃるため偉大な将軍様の思想と偉業は必ず勝利することについて」と記載されている。

20ページに満たない職盟学習要略は「敬愛する金正恩同志は非凡な思想理論的英知と多方面的な識見をお持ちだ。首領の思想と偉業を奉っていく領導者は誰よりも優れた思想理論的英知と多方面的な識見を所有していなければならない」と賞賛している。

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学習要略では金正恩がスイス留学時代の10代の頃から金日成の「領軍術と業績」に関連した執筆活動を行なったと強調している。しかし10代だった1993年から2001年までの間、スイスで金正恩が執筆活動を行なったというのは捏造と指摘される。10代の留学生が論文を執筆すること自体常識外れである。学習要略は金正恩の執筆活動と関連し次のように主張する。

「実際、歴史的に見て思想理論的英知を備え執筆活動をした偉人は少なくない。彼らが初めて本を発表したのは20代だった。しかし敬愛する金正恩同志は10代ですでに執筆活動を始められた。彼が祖国解放戦争を勝利に導いた首領様の卓越した領軍術と不滅の業績に対する論文を書いたのは16歳の時だった。金正恩同志は多方面的な識見を持っておられる。金日成軍事総合大学在学中には多くの軍事専門家が一生かけても習得しがたい歩兵、砲兵はもちろん、空軍、海軍をはじめ軍種、兵種、新聞分野に完全に精通していらっしゃった。軍事のみならず政治、経済、文化など全ての分野に対する該博な知識を所有していらっしゃる。彼は(金正恩氏)音楽と絵画にも造詣が深く、不可能な体育種目がない。世界常識、健康常識に至るまで全てに精通していらっしゃる」(学習要略)

しかし昨年4月のスイスの日刊紙「ル・マテン」の報道によれば、金正恩はスイスベルンにある国際学校在学中の最初の年は75日、翌年は105日欠席し、成績もよくなかったという。同紙は消息筋の発言を引用し、金正恩の自然科学の成績は6等級中3.5等級に過ぎず、数学、文化、社会、ドイツ語などは落第を辛うじて免れる成績だったと報道した。

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同時期に発刊された「職盟員は崇高な革命的道徳義理を備えられた偉大な金正日同志を永久に高く奉ろう」という題名の「職盟講演要略」では、金正恩は民族の太陽だと宣伝される金日成と同一視されている。

15ページに渡る職盟講演要略は「悲痛な心中を慰めることができなかった(2011年)12月の日々に銅像を訪れた人々の靴が凍らないようにと医療保障対策、温水保障対策など人民の便宜を最優先に保障するよう指示された金正恩同志の温かい愛情と恩情を涙とともに受け止め、我が人民皆は運命を全て委ねて生きる偉大な太陽の姿を目にしました」と賞賛している。

さらに「敬愛する金正恩同志はその輝かしい姿と思想と意志と徳望までも首領様と偉大な将軍様と同一の我々の唯一の心の柱であり人生の全てであり太陽である」と賞賛したうえで「我々は学習と講演を通して敬愛する金正恩同志の偉大性を深く理解し、金正恩同志の偉大性と不滅の革命を十分に体得し、金正恩同志と永遠に運命をともにする覚悟をしなければならない。思想も領導も風貌も偉大な将軍様そのものであられる敬愛する金正恩同志こそ我が人民の偉大なる領導者であられる」と強調している。

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講演要略は金正恩を金日成と同様、太陽と賞賛しているが、金日成の「民族の太陽」、金正日の「21世紀の太陽」などの典型的な賞賛修飾語は使用されていない。そのため近いうちに偶像化のための修飾語が付加されるのではと展望される。

2012年10月に発刊された解説講演資料では「主体98(2009)年4月5日、我々の人工地球衛星である光明星2号の発射に成功した。我々が作り出した人工地球衛星の光明星2号と運搬ロケットの『銀河2号』は制作、組み立て、発射場と発射後の観測に至るすべての工程が100%国産化されたもの」と主張している。