平壌の別の情報筋は、弟が自身の家に身を寄せてからもう3年目になると明かした。

「2022年、弟の家が住んでいた8階建ての古いアパートが取り壊され、15階建てのアパートが新たに建てられることになったが、骨組みの工事が終わってからすでに2年近く経つが、仕上げ工事がまったく進んでいない」と情報筋は述べた。

工事が遅れている理由については、タイル、ガラス、木材などの仕上げ材が供給されていないから」だと明かし、「すべての建設資材と物資が和盛通り第4段階工事に優先的に供給されている」と説明した。

情報筋は「新築中のアパートは、内部の左官作業すらまだ終わっていない状態だが、すでに窓は取り付けられ、外壁の塗装も施されていて、見た目には完成したマンションのように見える」とし、「幹線道路沿いにあるので、見た目が悪くならないようにするためではないか」と述べた。

同様に親戚や他人の家に身を寄せている人々は、区域の朝鮮労働党委員会や人民委員会(区役所)に工事を早く終わらせて欲しいと繰り返し要望しているが、何の対策も取られていないという。

「和盛通りの第4段階工事がすべて終わってからでないと、市内各所の小規模マンションには資材が回ってこない」というのが市民の間でのもっぱらの噂だ。

だが、工事を早く進める、北朝鮮式の言い方で「速度戦」を展開すれば、工程の省略や資材の省略といった弊害が生じかねない。平壌では2014年5月、23階建ての新築マンションが崩壊し、約500人が死亡する大惨事が起きている。

(参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

平壌市5万戸住宅建設の計画は、2022年4月に松花(ソンファ)通り、2023年4月に和盛地区第1段階、2024年4月に第2段階、今年4月に第3段階が完成し、現在は第4段階の工事が進められている。