朝鮮中央通信や労働新聞など、北朝鮮の国営メディアは5日、韓国で3日に投開票された大統領選挙で、野党共に民主党の李在明候補が当選したと、簡潔に報じた。
報道を受け、北朝鮮国民の間では選挙結果が話題になっているが、冷笑的な反応が見られると報じたのは、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)だ。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、住民の間で公式報道がされる前の4日から、李在明氏の当選の話が広がっており、新大統領が南北関係の改善に意欲を見せているとの情報も伝わり、関心が集まっていると述べた。
李在明氏については、元大統領の金大中氏、文在寅氏と似た路線の人物と評されているが、北朝鮮国民の反応は冷ややかなものだ。その理由について情報筋は、「こうした政権は金氏一族の世襲体制にとっては有利に働いたかもしれないが、飢える人民の暮らしが良くなったことはない」と述べた。
金正恩総書記は2023年12月末の朝鮮労働党第8期第9回総会で、韓国をもはや同族と見なさず、敵対的な別の国家と見なす「敵対的二国家論」を明確に打ち出し、建国当初からの国是である「南北統一」を完全に否定した。金大中、文在寅政権時代とは異なり、南北関係は決定的に決裂状態となっていることを踏まえ、冷笑的な反応を示す人も多いという。
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情報筋は、「新たに発足する李在明政権がわれわれ(北朝鮮)との関係改善を望んでいるとしても、すでに北と南は敵対する二つの国家であり、戦争状態にある交戦国という現実からして、関係が進展する余地はないという見方が優勢だ」と付け加えた。
情報筋は、貿易関係者の一部幹部の反応にも触れ、「新大統領の意向によって南北関係が協力路線に進むことを期待している」としつつも、「一般住民の見方はやや異なるようだ」とも述べた。
中国駐在の北朝鮮の幹部は、RFAの取材に、李在明氏が南北経済交流に乗り出す可能性があることに期待感を示し、南北関係が緩和されれば、中国国内の北朝鮮レストランを訪れる韓国人客が増加するかもしれないとの期待を語った。(参考記事:【写真】美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発)
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平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、現地住民の間で悲観論が広がっているとして、次のように述べた。
「北と南の制度の違いや思想的な隔たり、物質文明の格差などから、結局は『水と油』のように混ざり合うことはできない」
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面情報筋はまた、「韓国では大統領が交代するたびにさまざまな提案が打ち出され、南北平和や統一論が浮上し、派手な合意文が発表されることもあったが、実際に(北朝鮮)住民の暮らしに与えた影響は微々たるものだった」とし、「今回の新大統領が南北関係の改善を図ろうとしても、結果は同じだろう」と述べた。
そして、「南北関係の改善が住民の生活に直接的な利益として結びつかない限り、韓国の新大統領に対する住民の反応は基本的に冷たく、冷笑的なものにならざるを得ない」と付け加えた。