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金正恩統治から1年が経過するなか、北朝鮮内部では何が起こっているのだろうか。感知される数々のサインの中でも特に目立つのが、内部で異常気流が流れているということである。軍部が前面に登場しており、連日宣戦布告を発している。金正恩自身がこれらの危機を演出していると見るにはリスクが大きすぎる。内部的に挑戦勢力の決定的な脅威に直面しない限り、このような冒険的な行動を演出する理由がない。また金正恩の指導力に挑戦する勢力の存在は考えがたく、現実的にもそれは難しい。結局、危機状況を主導する背後勢力の存在に注目する必要がある。それはまさしく軍部勢力といえよう。彼らは過去の軍事主義世界観に執着し、核保有国としての地位を国家目標に設定したうえで金正恩の統治を背後から操縦する。国連安保理の追加対北制裁案2094号が公表されるや、彼らは待ち高ヲてたかのように朝鮮半島を戦争危機へと追いやっている。

北朝鮮は軍事国家として誕生した国である。金日成はパルチザン闘争で将軍の役割を果たし、北朝鮮地域に帰還した際は旧ソ連の大尉階級章を所持していた。金日成が北朝鮮の独裁者となるまでにパルチザン同僚の援助が少なくなかった。彼らは人民軍の要職を手にし、英雄称号を受け、死ぬまで軍服を着るという名誉を享受してきた。金日成の後継者である金正日と金正恩が権力を継承する際、軍人の資格である大将階級章を受けることも北朝鮮が軍事国家であるという理念が浸透しているためである。これらの慣行は金正日の統治後、背後勢力として地位を築いてきたパルチザン軍同僚の同意を引き出すためにも必要である。金正恩も後継者として指名され初めて受けた地位が人民軍大将だった。党による軍部統制の公式は、社会主義国家で普遍化されている統治原理だったが北朝鮮ではもはや通用しない。北朝鮮はすでに軍隊による、軍隊のための統治国家に変貌している。

兵営化された国家は周期的に軍事的緊張が必要となる。軍部勢力が国家権力の中枢位置を維持するためにもそうである。北朝鮮が韓国に向けた挑発行為を続ける理由がまさにここにある。内部的に権力継承が行われる期間には、軍部勢力による挑発行為の危険性が最も高まる。軍部の立場に反対する勢力が内部で結集しないよう阻止する目的で危機挑発行為を企画し、その名分を外部に求める。侵略勢力が蠢動しており、安保脅威が高まっていると宣伝する。金正日が脳卒中症状を見せたのは2008年8月頃だった。統治者としての金正日の運が尽きたと判断した軍部勢力はすでに非常体制に突入していたと思われる。幸いにも金正日が後継者を指名する程度に回復し、その時から軍部は金正恩を軍人に育成し始めた。そして2010年3月26日、天安艦攻撃を企画した。その後、金正恩は9月27日、人民軍大将に任命された。軍部勢力は11月23日、延坪島砲撃を企画し、彼らは砲撃挑発を起こす約一ヶ月前の10月頃、金正恩が砲兵分野に卓越した能力を保有していると宣伝した。以上のことを考慮すると、天安艦攻撃や延坪島砲撃は北朝鮮軍部勢力が主導した可能性が高く、天安艦攻撃は朝鮮半島の緊張造成が目的であり、延坪島砲撃は次期指導者である金正恩の美化が目的で強行されたと解釈できる。

金正恩による1年間の統治は桝幕@関車に比喩される。軍部の権力者らが金正恩を乗せて機関車を操縦しているといえる。この桝魔ェ停止する時間と場所は、操縦勢力のみが判断できる。恐らく金正恩の軍事安保認識が確実なものとなり、先軍政治に対する彼の意思が確認された時、桝魔ヘ終わるのではないか。韓国と国際社会が北朝鮮のこのような桝魔ノ対応する方法は明白である。危機挑発の可能性を遮断するための抑制措置を強化することである。このような観点で今月22日、韓国と米国が「米韓共同局地挑発対応計画」を準備したことは時宜に適った措置だと評価できよう。現実的に北朝鮮の軍部勢力は正面対決よりは局地挑発を通して危機を造成しようと試みるだろう。その危険は韓国の新政権に転嫁されることは明らかである。よって韓国は国家レベルの危機管理システムが正常に稼動するのかを点検し、北朝鮮の挑発行為が実際に発生した際、強力な報復行動を起こす意思と力量を行動に移す必要がある。現在、朝鮮半島にはいつになく敏感な危機状況が造成されている。危機状況を守勢的に受け止めるのではなく、この機会に北朝鮮の危機挑発の誘惑を根底から封鎖する契機として受け止めなければならない。

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