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北朝鮮が今月末、労働党中央委員会全員会議という重要な政治日程を控えており、その背景に関心が寄せられる。

北朝鮮軍最高司令部の「1号戦闘勤務態勢」発動(26日)、南北間軍通信線遮断(27日)など、朝鮮半島の緊張度が高まる中、事実上、党最高意思決定機関の中央委全員会議開催が必要なほどに重要決定が下されるのではと推測される。

金正恩体制に入り党中央委全員会議の開催は初めて。金正恩は最近、金日成式の統治スタイルを模倣してか、当時の政治日程を復活させる動きを見せている。

北朝鮮は金正恩体制発足を控えた2010年9月、党中央委全員会議を招集し党規約を改正。同会議を1年に数回召集し、「該当時期に党の重要な問題を討議決定」するよう定めた。

金日成死亡1年前である1993年12月にも全員会議が開催され、「第3次7カ年計画」(1987∼1993)の失敗を自認。金日成の弟である金英柱(キム・ヨンジュ)を党政治局委員に任命し、最高人民会議議長と国家計画委員長などを交代した。

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よって、今回の全員会議でも金日成時代のように各政策を評価し、食糧難など経済難を打開するための経済関連措置が発表されるのではと注目される。

北朝鮮は全員会議召集の理由を「主体革命偉業遂行において決定的な転換を成し遂げるための重大な問題を討議決定するため」とだけ明らかにした。「主体革命偉業」とは政治・思想的に金日成・金正日主義を全面化し、経済的に社会主義の物質的土台を整えることを意味する。

以上を踏まえ、今回の全員会議では党と国家、軍の全領域において重大な措置が取られる可能性がある。

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ただ、軍事的脅威を高めている北朝鮮としては、関連措置をとるためには党中央軍事委員会拡大会議を開催していなければならないと指摘される。実際、北朝鮮は3回目の核実験の直前、党中央軍事委拡大会議を開いている。当時、朝鮮中央通信は拡大会議で「自主権を守るための重要な結論を下した」と伝え、核実験の決定のための手続きと推測されていた。

一方、金正恩政権は金日成・金正日主義を前面に掲げながら、核保有国としての自負心、思想・軍事強国の完成、そして社会主義完成の最終課題である「経済強国建設」を今年の目標としている。

これらの点から今回の中央委全員会議で、経済強国建設と関連した決定が行われるのではとの推測がなされている。

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特に昨年施行されるはずだった「6.28方針」の火種が完全に消えていない状態だけに、類似の経済措置施行決定が行われる可能性に注目が寄せられる。この1年間、一部の農場・企業所では試験的施行が終わっており、全国的に拡大することも考えられる。

「6.28方針」は、協同農場では分組管理制と7:3生産物分配が施行され、工場・企業所では従来の生産指標の代わりに自立的な運営を保障し、労賃、食糧、工場運営資金を独自的に解決するというのが主な骨子。

党中央委全員会議の直後である4月1日に最高人民会議が予定されている点も、中央委全員会議で発表された経済措置と関連した法制定を一気に実施するという、北朝鮮当局の意図があるのではと読み取れる。

全国軽工業大会を開催したことも延長線にあると解釈される。金正恩は18日、10年ぶりに全国軽工業大会を開催し、工場の正常化と軽工業原料・資材の国産化を要請した。これもまた新たな経済措置施行に向けた事前政治作業の可能性がある。

党中央委全員会議は「党の最高指導機関」として、北朝鮮の主要な党・軍・政幹部を網羅する230人余りの議員と候補委員で構成される。市(直轄市)党委員会責任秘書も名簿に名が挙がっている。

全員会議には市・郡の責任秘書らも傍聴者として参加する可能性が高い。彼らは「地方長官」の資格で該当地域に所属する工場・企業所を管轄している。市・郡党委員会は全ての工場・企業所に対し「政策的指導」を行い、工場・企業所の新設・解散・統合を行う権限も持ち、新たな経済措置施行において彼らの役割が重要といえる。

また、今回の党中央委全員会議で昨年7月に解任された李英鎬(リ・ヨンホ)党政治局常務委員の空席を埋める人事が行われる可能性がある。軍事的緊張を高める決定よりは平和・親善メッセージを表明する可能性も否定できない。

ある北朝鮮専門家はデイリーNKに「労働党中央委全員会議は党・軍・国の運営に対する事実上の最高意思決定機構で今回の会議では金正恩の領導体系を強化する作業及び党的秩序の整備、人事異動作業のほか、平和を重視するという内容の決定がなされるのでは」と話した。