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朝鮮社会では長幼の序、すなわち年長者が偉いという価値観が重んじられている。「年上だが部下」あるいはその逆のように、年齢的序列と社会的地位が一致しない場合、様々な問題が起きる。最近、北朝鮮で起きた事件もその類だ。

北朝鮮の国境警備隊の兵士が、自分の父親と年齢が変わらない男性に些細なことで暴力を振るう事件を起こし、近隣住民は激怒している。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事件が起きたのは今月11日午後2時過ぎ、恵山(ヘサン)市郊外のシンポ野菜農場だ。

国境警備隊第25旅団所属の下戦士(二等兵)2人は、外出したついでにこの農場に立ち寄った。そして、畑に撒く水を天秤棒と水桶で運んでいる途中だった50代の農民に近寄り、「タバコを1本くれないか」と声をかけた。この農民はこのように返事をした。

「紙タバコはないが、葉タバコならある。だが、水を運んでいてポケットの中のタバコが濡れてしまったのでやれない」

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喫煙者であればわかるように、濡れたタバコは完全に乾くまで火がつきにくい。ちゃんと吸えるものを渡そうとしたのか、要求を拒否したのかはわからないが、兵士2人はその答えに激昂して農民を罵りだした。両者間で口論に発展し、兵士が農民を殴り倒し、ブーツで蹴り始めた。

他の農民や農村支援に来た人々が一部始終を目撃していたが、恐ろしくて止めるのはおろか、そばに寄ることすらできなかったという。やがて、その農民は動かなくなり、兵士は暴行を止めた。農場の人々は、その隙に一斉に駆け寄って、意識を失った農民を助け出し、背負って村の診療所に搬送した。

彼は20分後に意識を取り戻したが、怪我の程度が酷かったため、恵山市病院に搬送された。検査を受けたところ、鼓膜が損傷し、あばら骨が折れ、脳から出血するなどの重傷だったことがわかった。

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暴行を目撃した人々は、第25旅団の政治部に通報した。政治部は、この事件のことが中央に知られることのないように、調査を始めた。情報筋は、「今回の事件が中央に報告されれば、部隊の名誉が失墜する」ことを恐れて政治部が事件の処理を急いだと述べた。そして、下戦士の外出記録を確認し、当該の兵士2人に対して拘禁措置を下した。

旅団は今回の事件を、外出者に対する監督不行き届きと教育不足を理由にして、幹部の責任は明白だとし、2人が所属する小隊、中隊の長、政治指導員を呼びつけて問責処分とした。

北朝鮮は、「軍民関係」(軍と人民との良好な関係)を重視しており、一般国民に手を上げた将兵に対しては、非常に厳しい処罰を下す。2人に対する処分はまだ決まっていないようだが、よほどのコネが無い限り、重罰は免れないと思われる。

(参考記事:北朝鮮軍「兵士の不倫」を取り締まり…窃盗など犯罪も続発

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恵山市民は、今回の事件に大きな衝撃を受けた。人民を守るべき兵士がむしろ人民を殴って怪我を負わせた上に、自分の父親と年齢が変わらない農民を半殺しにしたためだ。情報筋は、恵山市民の声を集めた。

「軍服を着た人間は、虎の皮をかぶった獣のようだ」
「自分の息子と同年代の兵士でも、視線を合わすのは怖い」
「軍隊はもはやヤクザ集団と化した」
「女がいれば強姦し、品物があれば盗む。タバコをくれなかったからと暴行するような軍隊の保護はもはや必要ない」

(参考記事:飢えた兵士を民間人が暴行…北朝鮮、食糧難の断末魔

第25旅団の保衛部(秘密警察)は、農民、農村支援にやってきた市民と兵士が接触することのないように「軍民接触統制」に乗り出した。農作業の手伝いに行く日を民間人と重複しないようにするということだ。