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北朝鮮が14~16歳の中学生で構成される赤色青年近衛隊を軍事訓練に動員することは「国連児童の権利に関する協約(以下、児童権協約)」6条の生命権と29条の教育権を深刻に侵害するという人権専門家の指摘が提起された。

2007~2011年、国連児童権利委員会委員長を歴任した成均館大学のイ・ヤンヒ教授はデイリーNKとの通話で「児童権協約38条には15歳未満は徴集を控えなければならないと明示されている。北朝鮮の軍事訓練に参加する児童が満14歳なら、生命権と教育権に明らかに違反する深刻な事案」と話した。

イ教授は「教育権が剥奪され教育をまともに受けられず、(軍事動員は)児童の思想と思考の自由を抑圧する行為。(訓練を通して)プロパガンダを行い群集心理を引き出し、思想と思考の自由を剥奪する結果を引き起こしかねない」と懸念を示した。

児童権協約6条は当事国は全児童が生命に関する固有の権利を保有することを認め、児童の生存と発達を最大限保障しなければならないと明示している。また29条には当事国は児童の人格、才萩yび精神的・身体的潜在能力を最大限啓発し、人権と基本的自由、国連憲章に規定された原則を尊重する教育目標を目指す義務があると明示されている。

軍事訓練動員により児童らの教育権はもちろん、生命に関する権利を深刻に侵害しているとイ教授は力説する。

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イ教授は「栄養状態が良くない状況での過度の訓練と労働は、児童の生命を危険に犯しかねない行為。児童権協約6条の生命権、発達権、生存権を明白に違反する」と重ねて強調した。

実際、韓国に入国した脱北者らによれば、赤色青年近衛隊に入隊すると1年に1ヵ月程度は学校を休業にし野営訓練を受けさせる。訓練期間には銃の分解と組み立て訓練はもちろん、手りゅう弾投擲演習、実弾射撃も行われる。

脱北者のホン・チュニル(仮名、当時14歳)氏は1996年、赤色青年近衛隊に加入してすぐに1ヶ月間の軍事教育を受けた。ホン氏によれば、軍事教育は軍ごとに設置された訓練所で行われ、学校単位で寝泊りし教育を受けるという。

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軍事訓練は一般の軍隊と大きく変わらない。午前6時に起床し宿舎を整理した後、10分間で食事を終える。午前中は軍事理論教育が実施され、午後は実践教育がある。

実践教育では全学生にAK小銃が支給され、銃の分解と組み立て方法、照準演習が行われる。銃槍を使用した近接戦教育と手りゅう弾投擲方法なども指導される。ホン氏は「教育最終日には実弾3発が与えられ100m離れた所から射撃をするのだが、最高点数を得た学生には賞が与えられることもある」と説明した。

北朝鮮は1993年、核拡散禁止条約(NPT)脱退を宣言した当時、最高司令官の命令で「準戦時状態」を宣布した。最近の北朝鮮の状況がその当時の雰囲気と似ているとの指摘が多い。

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当時、赤色青年近衛隊に入隊していたという咸鏡北道会寧出身のキム・ソンファ(38、女)氏は「準戦時状態宣布の後、赤色青年近衛隊員も労働赤衛隊と教導隊とともに戦争対応訓練に動員された。学校が休業となり野営訓練と行軍をしたことがある」と回想した。

キム氏は「当時、準戦時が宣布され民間予備兵力はもちろん赤色青年近衛隊まで動員され、すぐに戦争が始まるのではと不安感がものすごかった。非常連絡網が組織され常に待機状態を強いられた。学校から集結命令があれば夜でも赤色青年近衛隊の服装で学校に集まった」と説明した。

児童権協約第3選択議定書のひとつである「児童の武力紛争参加に対する選択議定書」は、「当事国は18歳未満の児童が軍隊に義務的に招集されないよう保障しなければならない」と明示している。しかし北朝鮮は同議定書に批准していないとされ、児童権協約をまず履行するべきである。

第3選択議定書は権利を侵害された児童が国内で可能な全ての手続きを踏んだにもかかわらず、問題が解決されない場合、委員会に陳情できる「個人請願権」制度である。