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北朝鮮は6日、国連による4度目のUPR(普遍的・定期的レビュー)に際し、国連人権理事会から昨年11月に出された294の勧告のうち、約半分の144に対して「受け入れない」とする内容の報告書を提出した。

北朝鮮が受け入れないとした勧告の中には「死刑制度の廃止」が含まれている。193の国連加盟国のうち、実質的に刑罰としての死刑を執行している国は、現在54カ国。とされる。ここには米国や日本(現状、2022年7月が最後だが)も含まれており、北朝鮮だけの問題ではない。

もっとも、北朝鮮には悪名高い「公開処刑」がある。死刑制度の残る国の中でも、公開処刑を行っているのは北朝鮮のほか、サウジアラビア、イランなどごく一部に限られる。ただ、デイリーNKの内部情報筋によると、北朝鮮当局は昨年10月以降、死刑の実施基準を厳格化し、公開処刑を減らしていく動きも見せてはいる。

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では、北朝鮮はここへ来て何故、公開処刑を減らそうとしているのか。

理由のひとつは、「国際社会の目」だろう。北朝鮮の公開処刑は、もはや秘密でも何でもない。衛星写真でその現場が捉えられたこともあるし、北朝鮮当局者も弁明交じりながら、国際社会に対し事実を認めたこともある。

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そのように公然化した問題であるだけに、ことあるごとに厳しい批判にさらされるのは、やはり耐え難い部分があるのかもしれない。

そしてもうひとつの理由は、やはり国内世論ではないだろうか。かつて北朝鮮の人々は、国家による厳しい統制の中で育ったせいで、「人権という言葉も知らない」と言われていた。しかし、デジタルツールの発達により、海外から密かに流入した情報が広く共有されるようになり、その過程で人権の概念が国民に浸透するようになったと筆者は見ている。

そのように覚醒した人々はもはや、公開処刑を「当たり前のこと」「仕方のないこと」とは考えなくなったのではないか。実際に2023年8月、病死した牛肉を密売していた男女9人が公開処刑された際には「あまりに残忍だ」「そこまで重大な罪なのか」という世論の反発が巻き起こったとされる。

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しかし、北朝鮮当局の人権蹂躙は、公開処刑にだけ表れているわけではない。拷問を伴なう取り調べや不公正で場当たり的な司法システムも大問題だ。

北朝鮮の人権状況が改善する日は遠い。ただ、まったく前進していないわけではないという事実が、ささやかな希望を与えてくれてはいる。