摘発時は自転車没収…住民から強い不満の声

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北朝鮮当局は昨年8月、女性が自転車に乗ることを許可した。それから5ヶ月後、再度禁止令が出された。当局は理由の説明はしないまま、女性が自転車に乗っているのを摘発すれば、無条件に自転車を回収するとの方針を下したため、住民の不満が高まっている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、女性自転車再禁止令が出されたのは今月10日のことだ。11日からは、分駐所(派出所)から選ばれた人員からなる巡察隊の取締りが始まった。

ただし、押して歩く場合は取り締まりの対象とならない。かつても、この手法を使って取り締まりを逃れることが一般化していた。

新しい規則は、女性が自転車に乗っているのを摘発されれば、以前のような罰金刑ではなく、無条件で自転車を没収するという非常に厳しいものので、これが住民を強い不満を生んでいる。

女性自転車禁止で「一家揃って餓死」

北朝鮮で、自転車は最も便利な交通手段で、商売を営む住民にとってなくてはならない「生計手段」でもある。北朝鮮では、ほとんどの女性が商売を営み家族を養っている。また、子どもの幼稚園、学校への迎え送りにも必要だ。つまり、新しい規則は「商売をせずに、一家揃って餓死せよ」と言っているのも同然だ。

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それだけではない。

糾察隊は、朝から晩まで女性の自転車使用を取り締まっている。おそらく、没収をちらつかせてワイロを巻き上げるためだろう。北朝鮮の法律や規則、それに基づく権限は、すべてカネ儲けのネタとなる。

元高位幹部の脱北者は「金正恩氏が無計画に住民の歓心を得たくて昨年のような指示を下した。自転車の使用禁止に伴う住民の不都合は考慮しない、無鉄砲な政治スタイルが次々に表面化している」と話した。

自転車に乗ることは「社会主義の美風良俗に反する」

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なぜ、このような理解に苦しむ禁止令が出されたのだろうか。

北朝鮮では、国防委員会の呉克烈(オ・グンヨル)副委員長の娘だったオ・ヘヨン氏が自転車に乗っていたところを車にはねられ死亡した事故を受け、金正日総書記が女性の自転車使用を禁止する指示を下した。地域によって差はあるものの、1990年代中盤以降、女性の自転車利用が禁止されるようになった。

北朝鮮メディアは、女性がスカートをなびかせて自転車に乗る姿を「社会主義の美風良俗に反する行為」との理由を強調し、自転車の使用禁止を奨励している。