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戦災、敗戦によるサプライチェーンの寸断、冷夏によるコメの大凶作に加え、外地から300万人もの人口が流入した1945年の日本は、未曾有の食糧危機に陥った。農家は食管制度で定められた米価が安すぎることに不満を持ち、ヤミでコメを売り払った。

都市部での食糧配給量は極度に減り、ヤミ米を買わなくては生きていけなくなった。ヤミ物資を拒否して餓死した山口良忠判事の事件、食事面で差別待遇を受けていた付き人が十二代目片岡仁左衛門一家5人を惨殺した事件など、食べ物を巡る事件が相次いだ。

このような極度の食糧難は1948年秋には概ね落ち着いたが、似たような状況が30年以上も続いているのが北朝鮮だ。特にこの数年は失政によって食糧難が加重し、それに関連した事件も相次いでいる。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、今月9日午後5時ごろ、何者かが会寧(フェリョン)市・遊仙(ユソン)労働者区の民家に押し入り、室内と納戸を隅から隅まで物色した。

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ところが、あまりに勢いよく家具などをひっくり返したせいか、ドンガラガッシャンと大きな音を立ててしまい、それに驚き飛び出した近所の人々が家を取り囲んだ。

何も知らずに家から出てきたのは国境警備隊第27旅団の隊員3人だった。住民は3人を取り囲み、無慈悲に殴打した。3人は病院送りの憂き目となった。

情報筋によると、軍人による強盗、窃盗の類が多発しており、住民は自己防衛のため、家の塀の上に手をかけられないように釘を打ち付け、納戸には二重三重に南京錠をかけている。それでも相手は訓練を受けた軍人だ。壁をよじ登ったり、南京錠を叩き潰したりすることなど朝飯前だろう。

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彼らも不憫だ。上官から勤務の合間に薪拾い、副業地(軍が所有する農地)での農作業など、さまざまな仕事を押し付けられているが、食事はトウモロコシでできた麺を小指ほどの量しか出されない。食べ盛りの若い兵士が、そんなもので耐えられるわけがない。

上官とて満足のいく食事を得られているわけではなく、部下を数人1組にして窃盗団をやらせている有様だ。

コロナ前まで国境警備隊は、北朝鮮の中でも非常に恵まれていると言われていた。密輸を行う地域住民から便宜を図る見返りにワイロを受け取っていたからだ。また、住民や業者と組んで直接密輸に関与することもあれば、脱北の手助けをすることもあった。ところが、コロナでそれらのほとんどが断たれてしまった。

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当初は同情していた民間人だったが、窃盗被害があまりにも頻発し、すっかり「軍人を見かけさえすれば、頭のてっぺんから足のつま先まで火が吹くような怒りを感じる」(情報筋)ほどになってしまったという。

連行された軍人は、地域の安全部(警察署)で取り調べを受けるが、軍人の犯罪は警務部(憲兵隊)または軍内部の保衛部(秘密警察)が取り扱うため、身柄が引き渡される。しかし、実質的な処罰は行われず、盗みを煽る結果を生んでいる。

それで、民間人は軍人の窃盗犯を見かけたら集団リンチにかける形で、積もりに積もった怒りをぶつけるのだ。

「泥棒した軍人がボコボコにされるのを見るとスカッとする」(情報筋)

民間人の立場からすると正当防衛かもしれないが、もし当該の軍人に大怪我をさせ軍での服務ができなくなれば、暴行罪で処罰されるリスクがある。

ちなみに3人の怪我の程度は軽かったとのことだが、それでも病院に行ったことをめぐり「わざと問題にしようとしているのではないか」(情報筋)と疑惑が浮上しているとのことだ。責任を民間人になすりつけようとしているのか、入院して少しでも楽をしようと思っているのかは不明だ。