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北朝鮮は12日午前、平安北道鉄山郡にある西海衛星発射場から運搬ミサイルの「銀河3号」を通して長距離ミサイルを発射した。延期されるとの見通しを立てていた周辺国の不意を突いての発射だった。現在、北朝鮮の朝鮮中央通信は光明星3号2号機の衛星発射は成功し、予定通り軌道に到達したと発表した。韓国国防省は1、2段目の分離が成功したと評価し、最終的な判断は後日発表するとした。

北朝鮮は今年4月の発射では、1段目の推進体が分離されず失敗したと公式に認めた。8ヶ月ぶりにこの問題を技術的に補完したものと思われる。北朝鮮は4月の失敗以降、イラン人のミサイル技術者などを呼び、技術的問題などに関する助言を受けたとされる。イラン側は北朝鮮との核、ミサイルをめぐる協力関係を公式的には否定しているが、実際、イランの技術者がミサイル発射場付近に滞在しながら、今回の発射を支援しているとの推測もある。

北朝鮮は2009年2月、テポドン2号の発射実験を通して2、3段階ロケットの分離に成功した経験があるため、イランの協力がなくとも欠陥を補完する技術力は持っているとの指摘もある。今回の発射実験により、北朝鮮の長距離ミサイル発射技術が大陸間弾道ミサイル(ICBM)にほぼ近づき、射程距離も1万km以上と推定される。核弾頭を搭載できるほどに軽量化されたかが主な関心の的となっている。米国は緊張せずにはいられない。

金正恩は今回の発射を通して、就任以来続いてきた経済難と、軍の粛正により発生し得る内部の動揺をある程度落ち着かせられると考えている。金正恩は外部世界にはミサイル発射を予告していたが、内部には発表していなかった。成功に確信をもてなかったためと思われる。結果的には賭けに勝ち、軍事的リーダーシップを強めるきっかけとなったと評価する可能性が高い。住民に対しても経済的に貧困だった状況を軍事的に補完したとすることも想定される。

金正恩は失ったものは特にないと考えているかもしれない。もちろん、中国が即刻北朝鮮への支援を中断することはないだろう。しかし安保理が召集され制裁について議論を始めようとしている。さらに重要なのがバンコ・デルタ・アジア(BDA)凍結措置のような金融制裁が米韓の間で協議されている。これは国際社会の北朝鮮制裁において、中心的な役割をする中国を北朝鮮制裁の包囲網に含ませる手段となる。また海外に隠蔽された金氏一家の財産を追跡する作業が本格化される必要もある。

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北朝鮮メディアのめでたい慶祝ムードとは異なり、住民はミサイル発射に対し冷たい視線を向ける者が多い。このような傾向は幹部の間でも見受けられる。過去、核実験とミサイル発射に成功し、相当な自信を見せてきたのとは様子が異なる。今年4月と今回のミサイル発射にかかった8億ドルに達する資金は、北朝鮮人民の2年分の食糧代に相当する。住民から「ミサイルに金を浪費している」との声が聞こえるのも無理はない。金正恩の一石二鳥の計算が外れるかもしれない。