北朝鮮は昨秋、1万2000人規模の兵力をロシアに送り、西部クルスク州などでウクライナ軍との戦闘に加わった。すでに多くの犠牲を出しており、ウクライナのゼレンスキー大統領は4日の演説で、死傷者は派遣兵力の3分の1に及ぶと明らかにした。
そんな前線で戦う兵士の士気低下は非常に深刻なようだ。
平壌のデイリーNK内部情報筋は、兵士たちの現状を次のように伝えた。
「ロシアに派遣した兵士たちが死への恐怖でひどく萎縮しており、文化など様々な面でも適応できず、思想的にも変化する兆候があるという文書が先月下旬から伝えられており、(北朝鮮当局の)悩みの種になっている」
この文書によると、思想に問題なく、肉体も鍛え上げられた兵士たちだが、実戦の中で精神的に激しく動揺しているという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮当局は、ロシアに派遣された軍事部門イルクン(幹部)からの報告で、兵士たちが未来への確信を持てず、死に対する恐怖とショックに陥っている状況であることを認識しているとのことだ。
兵士たちはまた、外の世界を一度も経験したことがなく、ロシア軍と共同作戦を行う過程で過度に萎縮してしまっているようだ。初めて接するロシア人など外国人を不思議がったり、過大評価したりしている。
海外からの情報流入を過度に統制してきた体制の在り方が、弱点として作用しているということだ。
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さらに、堂々としたロシア兵の姿を見て、監視と規制でがんじがらめになり萎縮している自分たちとは異なると、自信喪失に陥っている。
(参考記事:「1人の生還も望まない」ロシア派兵軍人に金正恩の残忍な仕打ち)差別の問題もあるようだ。
「現地からの報告によると、北朝鮮の兵士に会ったロシア軍兵士の中には『根本的に人として扱う価値がない』と言い放つものすらいたという」(情報筋)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面その原因として挙げられたのが言葉と文化の壁だ。
ロシア軍内部でも、北朝鮮の兵士に対する不満が高まっており、ロシアとの軍事協力に悪影響を及ぼしかねないとの内容も、報告書に含まれているとのことだ。
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さらに懸念されるのは「脱北」だ。
「戦死者、負傷者が増えるにつれ、兵士たちがさらに恐怖に震え、精神的に苦しんでいる。(言葉、文化への)適応問題が壁となり落胆しており、いつでも党と国家を裏切り、事をしでかすかもわからないという懸念が取り沙汰されている」(情報筋)
北朝鮮当局は、派兵された兵士の思想的な動揺を防ぎ、脱北などの離脱を防ぐ対策を模索しており、既に派遣された人員に加え、別の高位級の幹部を急遽派遣することを検討している。