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2024年、北朝鮮の人権状況を巡り、ふたつの大きな動きがあった。

スイス・ジュネーブで昨年11月7日に行われた国連人権理事会のUPR(普遍的・定期的審査)で、北朝鮮中央裁判所のパク・クァンホ局長は、「一般的に死刑執行は定められた場所で非公開で行う」が、「例外的な場合には公開で行うこともある」と述べ、同国で公開処刑が行われていることを公式に認めた。

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公開処刑が認められるものとして、他人に深刻な危害を加えた者、重大犯罪を犯しながら改悛の情が見られない者、被害者家族が強く望んだ場合などを挙げた。

この説明でポイントとなるのは、「重大犯罪」が何を指すかだ。日本や韓国など多くの国では連続殺人や大量殺人などが挙げられるだろうが、北朝鮮では「韓流コンテンツを流布した」などといったことまでが公開処刑の対象となっている。

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一方、デイリーNKの内部情報筋によると、司法機関の処刑基準を強化し、非公開処刑を制度化することについての「1号批准課題」が10月13日、国家保衛省(秘密警察)と社会安全省(警察庁)に通達された。1号批准課題とは、金正恩総書記の承認を受けた事業のことを指す。

朝鮮労働党中央委員会と地方の党安全委員会が、公開処刑と非公開処刑の基準を明確に区分し、審査基準を強化して決定を下すように指示した。これについて、情報筋は次のように説明した。

「今まで公開処刑は、中央の包括的な検討なしに地方の党安全委員会の判断で迅速に承認されていたが、今後は中央の司法機関の包括的な批准と強化された審議を必ず経るようになった」

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このふたつの動きは、国際社会の批判をかわすため、同国の死刑制度があたかも司法の重要な一部として機能しているように見せかけるためのものだろう。

しかし、公開で行われようが非公開で行われようが、金正恩体制の恐怖政治を支える手段として処刑が行われていることにかわりはない。

韓国の聯合ニュースは昨年9月4日、国家情報院(国情院)が明らかにしたとして、北朝鮮が7月末に平安北道や慈江道で発生した洪水被害の責任を問い、多数の幹部を処刑した動向があると報じた。

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一方、朝鮮日報系のTV朝鮮も同月3日、韓国政府当局者の話として「被災地の幹部20~30人がいっぺんに銃殺されたものと把握された」と伝えた。

金正恩総書記は7月末に開かれた朝鮮労働党中央委員会政治局の非常拡大会議で、「党や国が与えた責任のある職務を怠ったことで容認できない人命被害を発生させた者については厳しく処罰する」と発言していた。韓国メディアが報じた大量処刑が事実なら、まず間違いなく金正恩氏のこの発言を受けてのものだろう。

仮に、水害の被害拡大が現場の官僚たちの落ち度によるものだったとしても、何をどのように検討したらこのような結論につながるのか。

多数の幹部がいっせいに公開処刑されれば、その情報は口コミで広がり、海外に伝わる可能性が高い。それがないところを見ると、処刑は非公開で行われたのだろう。しかし、この行為が恐怖政治の一部であると考えない人はいないだろう。

北朝鮮は、公開処刑が司法の一部であると国際社会に認めたことでむしろ居直り、恐怖政治をいっそう強める可能性すらある。