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北朝鮮の両江道(リャンガンド)金正淑(キムジョンスク)郡の裁判所は13日、6組の夫婦から出されていた離婚届を受理する決定を下した。北朝鮮には協議離婚はなく、裁判所の許可を得られなければ離婚できないことになっているのだ。

判決直後、彼らはどこかへと連れ去られてしまった。一体何が起きたのか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

金正恩総書記は、離婚は悪で、少子化の原因と思い込んでいるようで、離婚のハードルを上げている。それでも、コロナ禍で生活環境が悪化した2020年から離婚が急増しており、当局は、家庭破綻に対応するとして、離婚した夫婦を労働鍛錬隊、つまり刑務所送りにするという措置を取っている。

(参考記事:「離婚は悪という認識」が北朝鮮の少子化を促進する

昨年までは離婚を申し出た側だけが服役することになっていたが、今では夫婦双方とも労働鍛錬隊送りにされる。刑期は1カ月から半年だ。幹部の場合、朝鮮労働党から除名されたり、更迭されたりする処分を受ける。

(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為

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情報筋の弟は、結婚3年で妻から離婚を申し出た。そして、裁判所で離婚が認められたが、妻は6カ月、弟は1カ月の間、労働鍛錬隊での服役を強いられた。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、離婚したせいで3カ月間、殷山(ウンサン)郡の労働鍛錬隊に入れられ、今月初めに釈放された。

女性80人、男性40人が服役しており、離婚した「罪」で送り込まれてきたのは男女30人、女性の方が刑期が長かったとのことだ。

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年代別には30代が最も多く、次いで40代だったとのことだ。理由は、生活苦により夫婦仲が悪化し、夫がDVを行ったケースが多く、妻が離婚届を出す。そのせいで、女性の受刑者の方が多くなるのだ。

3歳以下の子どもがいる女性は、収監されずに自宅から毎日労働鍛錬隊に「出勤」する。朝から午後6時まで強制労働をさせられる。

(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

情報筋は、当局のやり方に怒りをあらわにした。

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「当局が食糧問題を解決せずに、(離婚した人を)労働鍛錬隊送りにするやり方で離婚を防ごうとすれば、結婚を諦める人が増え、少子化問題が悪化して、さらなる社会問題となるだろう」

実際、結婚を避ける若いカップルが増えているとの報告がある。

(参考記事:「不倫、同棲したら懲役刑」若者を苦しめる金正恩の古臭い結婚観

北朝鮮で離婚が多いのは、男女の経済的、社会的地位が根本にある。

女性は、市場での商売で現金収入を得る。一方、男性は職場に勤めることを強制されるが、充分な給料をもらえない。一家の生計を支えるのは女性だが、ジェンダーロール(性役割)に縛り付けられている夫は、自分を不甲斐なく思い、妻に対して暴力を振るうなどしてその鬱憤を払う。それが離婚へとつながるのだ。

そのような煩わしさを避けるために、結婚という選択をしない女性も増えていると伝えられている。また、託児所などの福祉施設が充分に役割を果たせていないため、出産をすれば育児で現金収入が断たれることになる。そのため、出産を避ける傾向にある。それに対して当局は、避妊を違法化した。

そんな当局のやり方では、少子化、晩婚化、非婚化や離婚に歯止めをかけることなどできないと、国民からも見透かされているのだ。