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北朝鮮は、独立採算制の原則に基づいて運営されている工場、企業所の労働者の食糧配給を、賃金に切り替える計画を推進中であると分かった。

咸鏡道(ハムギョンド)のデイリーNK内部情報筋によると、8日に伝達された中央党(労働党中央委員会)方針に基づき、今後は一部工場、企業所労働者の食糧配給制はなくし、生活費(賃金)で評価することにした。また、国家計画の割り当てを受ける組織は、既存と同じく配給制が維持され、独立採算制を保障された生産組織だけが生活費体系に変わる。

食糧配給がなくなり工場、企業所の生活費が今より大きく上がる見込みだが、その引上げ幅は場所ごとに差があるようだというのが情報筋の見方だ。

北朝鮮は、1970年代から国家が指示した生産計画を超過した生産物については、工場、企業所が独自の権限を持って処理するようになった。

超過利潤の分配と処分権限を工場、企業所に任せるという点でインセンティブ効果があると見られるが、北朝鮮国内では、国家が背負いきれない配給の義務を、生産組織に押し付けようとしているに過ぎないという指摘も強かった。

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北朝鮮の工場企業所は、経済戦略における役割、生産力、労働者数などを基準に特級から7級まで8段階で分類される。特級、1級、2級、3級など大型工場企業所は、すべて中央(内閣や各省) 直轄であり、その傘下に多数の「職場」を抱えている。

一部の工場、企業所は運営費を稼ぐために、「独立採算制」原理で運営されて来た。各地方の50〜500人程度の生活必需品工場や軽工業工場(4〜7級)は、初めから独立採算制に運営される場合もある。

独立採算制で運営される生産組織にだけ「全面賃金制」を計画することで、期待した「改革開放」は、事実上機能していないとの見方もある。北朝鮮の全体の工場、企業所の中で、独立採算制で運営される生産組織の割合があまり高くないからだ。

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いわゆる「第2経済」に分類される軍需工場や中央直轄の工場、企業所など、核心的組織を除き、2002年7.1措置で強調された「独立採算制強化」の旗印を再現、補強するものであると解釈できる。

一般住民の反応はあまりよくないと情報筋は伝えた。咸鏡道穏城(オンソン)のある工場では、食糧配給を廃止する代わりに賃金を6倍に引き上げることを検討しているが、2000北朝鮮ウォンだった月給が1万2000北朝鮮ウォンに引き上げられても、コメ2キロほどの額にしかならない。13日の穏城市場でのコメ1キロの価格は5000北朝鮮ウォンを超えている。

同じ工場、企業所でも、部署ごとに給与面の差が生じることも考えられる。今回措置が施行される予定である茂山(ムサン)鉱山企業所を例に挙げると、核心組織の「選鉱職場」(国家予算制適用)には、従来通り食糧配給と賃金体系が維持されるが、くず鉄で鍋を製造して市場に降ろしている「生活必需品職場」(独立採算制適用)には、食糧配給制が廃止されて賃金だけ支給される見込みだ。

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2009年の貨幤改革(デノミネーション)以降の北朝鮮は、市場のコメの価格が少なくとも5倍になるほどのハイパーインフレに苦しめられている。現金所得しか得られなくなる独立採算制適用組織の労働者は、所得の減少が避けられないと思われる。

「どうせ配給なんてまともにもらえなかった」と冷笑する人がいる一方で、毎月3〜5キロの食糧配給を受け取っていた労働者家族は「死ねということか」と不満をあらわにしているという。

北朝鮮は今年6月28日「われわれ式新経済管理体制を確立するに対して」という題目の経済管理改善措置を国内に示した。国家が協同農場と工場企業所の初期生産費を投資して、生産物を市場価格で評価して国家と生産組織が一定比率で分配するという内容だ。

しかし、この6.28方針の公表後、北朝鮮の市場為替と物価は上昇を続けている。15日の時点で、咸興(ハムン)ではコメ1キロが6000北朝鮮ウォン、新義州では中国人民元1元のレートが980北朝鮮ウォンになるなど、市場の物価が連日最高値を更新している。全面的な施行を控えた新経済管理措置に不安に思っている住民たちが、外貨やコメの確保に乗り出したためと思われる。