長期拘束の金永煥氏インタビュー

中国遼寧省丹東市の国家安全局に拘束されていた当時、拷問と過酷行為を受けた韓国の人権活動家、金永煥(キム・ヨンファン)北朝鮮民主化ネットワーク研究委員は31日、デイリーNKとのインタビューで「今回の中国の私に対する拷問問題により、北朝鮮の人権問題が埋もれてはいけないし、北朝鮮の状況と並列的に解釈してはいけない」と語った。

金研究員は3月29日、中国・大連での脱北者支援会合に参加していたところ、中国当局により国家安全危害罪の容疑で逮捕された。114日間にわたる拘束期間中、様々な拷問を受けた。

しかし、この日のインタビューでは、「私の受けた拷問は一般的にはひどいものだったが、北朝鮮のそれと比べた場合、最悪だったとは言い難い」とも語った。

6日間にわたった睡眠妨害

これは自身の問題が焦点となり、北朝鮮の問題が素通りされることを懸念した発言と言える。その一方、中国の人権問題改善も重視する立場から、彼は自身の体験について、淡々とした口調で語った。

金永煥氏が明かした中国当局による拷問の実態は、概要として次のとおりだ。

2012年3月29日に逮捕され、4月10日からは眠らせない拷問が始まった。

それ以前にも、夜遅くに調査官がやって来て意味のない話をしたり、午後9時頃にやって来た丹東国家安全局長が「黙秘権を行使するな」という話を午前3時まで続けたり、ということが繰り返されていた。そんなことが続くと、頭が一日中ボーッとするようになる。

しかし、もともと睡眠時間の短い私にとっては、耐えられる範囲のことだった。

それがこの日からは、全く眠らせない方式に変わった。

取調室で6日間、ぶっ通しでイスに座らされたのだ。

少しでもウトウトすると、監視員が騒音を出して睡眠を妨害した。眠いことより、足、臀部、腰など全身の苦痛がひどかった。 続く2日間は、座らずに部屋の片隅に立っていろと言われた。

拷問が始まってから6日目(4月15日)、取り調べの担当者が変わった。

彼らは取調室に入るや、突然私の顔に覆面をかぶせた。その瞬間、ゾッとして全身がこわばった。何をしようというのか。

部屋に別の人々が入ってくる音が聞こえた。私の手首に何かを巻いて、胸にも何かを当てて、何やら忙しそうに動いていた。

彼らの会話から血圧と心電図の検査をしていることがわかった。

「大丈夫か?」

「大丈夫だ」

「やってもいいだろう」

心電図の機械音が聞こえ、彼らがささやく声も聞こえた。どうやら医者と看護師のようだった。彼らが出て行く音が聞こえた。

そして覆面が外された。

何をしようとしているのだろうかと思った瞬間、取調官の拳が私の顔に向かって飛んできた。目から火花が出た。

取調官2人は交代で私の顔を殴り続けた。彼らが医者を呼んだのは、私が暴行に耐えられる健康状態かを確認するためだったのだ。

殴る前に健康チェックをしてくれるとは、なんと思いやりのある人権国家だろう。何かを自白しろとも言われず、ただひたすら無言で殴られ続けた。

続いて彼らは、何やら電線にぐるぐる巻きにされた物体を取り出した。

あれは何だろうかと思った瞬間、皮膚を引き裂くような苦痛を背中に感じた。同時に全身が雷に打たれたような衝撃に襲われた。

電気拷問だった。電線がまかれた棒を服の中に差し込んで、体のあちこちにくっつけた。そんな拷問が数時間続いた。 皮膚が焼ける匂いがした。髪の毛が逆立つほどの衝撃に全身が包まれた。

中国当局幹部と「舌戦」

睡眠を妨げる拷問の過程では、縦・横・高さが25cmの小さな椅子に数十時間も座らされ、下半身が相当が苦しかったと証言。

また3月29日に拘束されてから3日目からは、手かせを強く締められたまま10時間以上も放置され、手の麻痺が1カ月以上続いたと言う。

金氏はこうした拷問を受ける過程で「北朝鮮に身柄を引き渡す」との脅迫を20回余り受けたという。

彼は一部の言論で報道された「鶏丸焼き拷問」や、両腕と両足をひとまとめに縛りぶら下げる「鳩拷問」、「水拷問」のようなことはなかったと言った。報道過程で誤って伝わったと指摘した。

彼は丹東市国家安全局長との2度の面談で「舌戦」を繰り広げた状況についても語った。

金研究委員は局長に「私は反中国主義者でもなく、中国に危害を加える活動もしなかったのにどうして拷問を加えるのか」と抗議したが、安全局長は「拷問の事実を外部に漏らすな」、「中国での法律違反を自認せよ」と言う内容だけを繰り返したと言う。

一方、金研究委員は20日、審陽空港で韓国政府関係者に身柄を引渡された後、中国国家安全部要員に3つの要求を行った。「第一に私に対して拷問したことへの謝罪、第二に北朝鮮民主化運動を侮辱したことへの謝罪、第三に北朝鮮民主化運動の過程で犠牲になった人士を侮辱したことへの謝罪」だったという。

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