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かつては体罰が当たり前のように行われていた韓国軍。しかし、それが原因となった乱射事件が度々発生したことと、人権意識が高まったことで、体罰は厳しく禁じられるようになった。2014年4月には1カ月で4000人近い摘発者を出した。現在ではこれら行為に対する内部通報制度もあり、以前よりは減ったものの、根絶するには至っていない。

一方の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)でも体罰や暴力が頻発している。体制が何かにつけ、公開処刑などを通じ国民に暴力を見せつけてきた結果とも言える。

しかし、その様相が深刻化するや、軍総政治局は根絶案を示すよう現場に指示した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の軍関連情報筋は、その指示の発端となった事件について語った。第9軍団傘下の部隊で今月6日、部隊の幹部が、女性の部下を暴行する事件が起きたのだ。

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夏季訓練の一環として行われる水泳集中訓練に対する検閲の過程で、大隊の参謀長が女性部隊の中隊長に対して暴言を吐いた上、角材で殴打。周囲の兵士たちが愕然とするほど情け容赦なく殴打された中隊長はひどく負傷して、3日間も軍医所に入院することになった。

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北朝鮮軍では男性の上官が、「(朝鮮労働)党への入党を推薦してやる」、「楽なポジションにつけてやる」などの見返りに、女性の部下に対して性暴力を振るう行為は頻繁に報告されている。その一方、こうした殴る蹴るの暴力までが行われていることが改めて明らかになった形だ。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

事件の発生を知った部隊の政治部は、大隊参謀長を解任した。しかし、それで事態が根本的に改善するわけではない。

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軍で暴行事件が多発する背景について情報筋は、「ますますひどくなる(生活環境の)劣悪さと退屈な軍での生活」のためだと語った。

以前から軍の食糧供給には問題があった。協同農場からの輸送過程で横流しが頻発。末端の兵士はもちろん、軍官ですらまともな食事にありつけず、部隊周辺の農場や民家を襲撃して、民間人からは「馬賊」呼ばわりされて恐れられる存在となっていた。

兵力が120万人と世界4位の巨大な軍を擁する北朝鮮だが、その多くはまともな食事にありつけず、米軍や韓国軍と戦う前に、飢えとの戦いを強いられている。