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ところが同映画が一般住民に広まるなかで、「いつ将軍様(金正日氏)と結婚したんだ?」「故郷や家族は?」などと、高ヨンヒ個人に対する関心が高まった。その結果、北朝鮮当局が回収に乗り出したわけである。

高ヨンヒの本名は高ヨンジャで、万寿台芸術団の踊り子として活躍中、金正日氏の三番目の妻として選ばれた。一部の北朝鮮住民の間では「令夫人」と呼ばれるなど、非公式の場では事実上北朝鮮のファーストレディの役目を果たしていたとされる。2004年乳がんで死亡した。

しかし高ヨンヒは、日本の大阪・鶴橋生まれで済州島にルーツを持つ在日朝鮮人2世だ。であり、金正日氏と公式的に結婚式を挙げていないなどの理由で、その間、金氏一家に対する偶像化作業には登場してこなかった。特に「抗日女将軍」として崇められる金正日氏の生母、金正淑(キム・ジョンスク)の抗日パルチザン経歴と比べ、高ヨンヒは金正日氏との同居直前まで「踊り子」に過ぎなかったという点から、「格」が落ちると評価されてきた。

ところが次男の金正恩が金正日氏の後継者として正式に確定するに伴い、いずれは高ヨンヒに対する偶像化が始まるとの予想が有力視されていた。北朝鮮が「白頭血統」理論を掲げ3代世襲の正当性を強調する状況で、金正恩の生母に対する言及は避けられないためである。