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北朝鮮で過去数十年にわたって続く深刻な電力不足。雨が少ない気候であることを考慮せず、水力発電に偏重した電力供給システムを構築したことがそのものの間違いだったが、見栄えがするからか、未だに水力発電所の建設が続けられている。

だが、手抜き工事のせいで、設計上のキャパシティを下回る発電しかできないなど、電力インフラの改善にはあまり役立っていない。

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必要なところにあるべき電気がないところで、様々な事故も起きている。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の徳川(トクチョン)一帯の炭鉱では昨秋から最近に至るまで、合わせて6件の死亡事故が起きている。そのいずれも、電力不足により送風機が止まり、炭鉱労働者が酸欠で死亡したというものだ。

炭鉱では、外から送風機で空気を送り込み、通風孔から出ていくようにして、常に空気が流れるようにしている。酸欠や粉塵爆発を防ぐためだ。送風機が止まってしまうと空気が淀んでしまい、事故につながる。送風機は炭鉱労働者にとって命綱同然の存在なのである。

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同様に重要なのが、カンテラやヘッドランプなどの照明器具だが、充分に充電ができず、2〜3人に1台の割合でしか使えない。徳川の炭鉱で働いているAさんは次のように述べた。

「国の電力事情が苦しいという宣伝を信じて、ランプ(のバッテリー)も節約しようと思っていた。しかし、送風機が止まったせいで窒息事故が起きてしまった。これでは不安でヤマで働けない」

一方、Bさんは次のように述べた。

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「自分たちにとって電気は酸素マスク同然だが、他はともかくとして、炭鉱だけでも最低限の電力供給を保証してくれるべきじゃないのか」

炭鉱労働者が電力不足のせいで死の恐怖と闘っている一方、市内中心部にある店では照明が煌々と輝いている。

「幹部や金持ちの利用するカラオケ、高級レストランなどは夜でも照明が付いているのは当たり前で、冷蔵庫、音響機器などに使う電気が途絶えることはない。この電力を炭鉱に供給すれば事故が減るはずなのに」(情報筋)

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おそらく配電担当者にワイロを掴ませ、産業用の電気を回してもらっているのだろう。

庶民は電気がなくて命を落とし、幹部や金持ちは電気を湯水のごとく使う。万民が平等なはずの北朝鮮だが、実際は電気を使うに当たっても差別が存在するのだ。