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「商売なんかにうつつを抜かす時間があれば働け」

そう言われれば多くの人が首を傾げるだろう。店で熱心に働いているのに、うつつを抜かすなとはどういうことかと。

北朝鮮では、朝から晩まで市場で働いたとしても「仕事をしている扱い」にはならない。国営の工場、企業所、行政機関などに属していてようやく「仕事をした扱い」になる。たとえ出勤するだけで1日中、油を売っていたとしても、仕事をしていることになるのだ。

北朝鮮は深刻な労働不足を解消するために、これら商売人の女性に「社会進出せよ」と促している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、当局が、全国の女盟員(朝鮮社会主義女性同盟のメンバー)に「遊んでいないで社会に出て仕事をせよ」と命じたと伝えた。

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最近、女盟員に対して「社会主建設のための闘争において公民(国民)としての本分を守れ」という内容の思想教育が行われているが、その核心は「家で家事仕事なんぞをして遊んでいたり、商売をしたりしている女性が工場、企業所に入って仕事をせよ」というものだ。

(参考記事:「女子生徒の学習意欲が低下」北朝鮮、金正恩の単純労働強制で

家事労働を遊び扱いするのもひどい話だが、家族を食べさせて、北朝鮮経済を底辺で支えている女性を「プータロー」扱いしているのだ。思想教育は以下のように続いた。

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「職場に出て働けるのに、家に座って商売や金儲けに狂っていた者どもは、総和(総括)を受ける覚悟をせよ」
「もう個人主義はやめて工場、企業所に出勤して社会主義建設に献身せよ」

商売人の女性たちは、吊し上げにされないようにと、とりあえずは工場や企業所に入る。しかし、そこで働くのではなく、引き続き市場で働き続けて、利益の一部を勤め先に納付する、いわゆる「8.3ジル」をした方が楽という女性もいる。製品を生産するのではなく、国営の工場、企業所の名義を借りるだけの状態だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、当局が、既存の工場に加え、新たに建設された地方工業工場の労働力が補充するために、女盟員を働かせようとしていると指摘した。

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このような流れは今までもあった。2021年の朝鮮社会主義女性同盟第7回大会の後に、女性を働かせようとしたが、しばらくしてしりすぼみになってしまった。それが最近になって復活した。

ちなみに、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」以降、地方の国営工場の定員が満たされたことはなく、情報筋が働く工場でも定員120人のところ、80人ほどしか従業員がいないという。

そんな状況で地方工業工場が建設され、労働力不足に拍車がかかっている。当局の市場抑制策のせいで、商売あがったりの状態が続いているため、最初から就活をして、いい職場に入ろうという女性も現れ、このような空気は今後数年続くだろうと、情報筋は見ている。