道内最大都市の清津(チョンジン)でも状況は同じだ。同市の情報筋は、かつてそれなりのポストについていた幹部が、物乞いのために元部下を訪ねていると伝えた。
水南(スナム)区域の某機関の副委員長を務めた70代の老人Bさんは、元部下からも市民からも評判のよかったのだが、それに見合った待遇が受けられない上に、2年前に妻に先立たれてしまった。食べ物が底をつくと、元部下の家を訪ねては食事をごちそうしてもらったり、コメや食料品を受け取ったりしている。
Bさんには子どもがいるが、父親に仕送りをするほどの余裕はないようだ。子どもが商売で成功したり、いいポストについたりしない限りは、年老いた親を雇う余裕はない。
(参考記事:北朝鮮に現代の「姥捨山」…自ら家を出る老人も)Aさんも、Bさんも、毎月2万北朝鮮ウォンの年老保障年金を受け取ることになっている。最近になって大幅に額が上げられたものの、コメ4キロを買うのがやっとで、焼け石に水だ。
国のために一生を捧げた幹部に必要最低限の生活保障すらできないのに、忠誠心は求め続ける。幹部になろうという若者が最近減っていると伝えられているが、引退後の幹部の窮状を見て、誰が幹部になろうと思うだろうか。