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北朝鮮は先月より住民から強圧的に回収したクズ鉄で鉄甲自行放射砲を製造し、軍部隊に贈呈した。

北朝鮮労働党機関紙の労働新聞は22日、「英雄的朝鮮人民軍創立80周年を迎え、全国の学生・青少年と女盟員が準備した、‘少年号’‘女盟号’と名づけられた放射砲の贈呈式が咸興広場にて開催された」と報道した。

同紙はさらに「贈呈式終了後、咸興市の学生・青少年と女盟員、勤労者からの熱烈な歓送を受け、放射砲が人民軍部隊に引き継がれた」と伝えた。放射砲の配置先部隊についての言及はなかった。

同紙はまた、「‘善行実践運動’を積極的に展開し、少年号、女盟号の名で光り輝く戦闘技術兵器を人民軍にさらに献上する」と伝えた。

善行実践運動とは人民学校、中学校にて実施されるクズ鉄集め、植樹、通りや町の美化などを奨励するという内容の運動。金正恩政権発足後はクズ鉄集めが特に強調された。専業主婦が中心の女性組織、女盟(朝鮮民主女性同盟)でもクズ鉄集めが行われた。

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同日、北朝鮮軍に献上された放射砲は、少年団と女盟の名前になぞらえ、「少年号」「女盟号」という別称が付けられた。「贈呈」行事が咸興で行われた理由として、咸興南道が北朝鮮各道の中で、クズ鉄回収量が最も多かったためと思われる。

同紙は「援軍(軍隊に対する支援活動)は最大の愛国であることを心に刻み、女盟員は援軍美風を引き続き高く発揚させ、子弟を総爆弾勇士として立派に育てること」と強調した。

デイリーNKでは先月20日、「金日成氏の生誕記念日(4月15日)までに住民1人あたりクズ鉄10キロを献上せよとの特命が下された」と報道した。

(参考記事:北朝鮮当局、住民にクズ鉄10キロの供出を強いる

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当時、内部消息筋は「クズ鉄がノルマに満たない場合、現金で不足分を補わなければならない。1人あたり最大2000ウォンずつ課される」と話した。4人家族の場合8000ウォンとなる。2009年の貨幣改革後、北朝鮮労働者の月給は2000ウォン〜8000ウォンと伝えられる。

一方で地上軍の主力火器のひとつである放射砲までもクズ鉄で製造するほど、第2経済(軍需経済)が脆弱なのではとの分析もみられる。長距離ミサイルや核兵器など、外部威嚇用の大量破壊兵器に資源投入が集中した結果、通常兵器の増強は住民のふところに頼り「間に合い」式に済ませているとの分析だ。

しかし、労働新聞に公開された「少年号」「女盟号」の財源に対する注意深い分析も必要である。今までにメディアに公開された北朝鮮の放射砲は、車両に搭載されるか牽引されるタイプだった。しかし「少年号」「女盟号」は装甲戦車の本体に放射砲が組み込まれており、高速起動中に発砲可能と予想される。

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2010年の延坪島砲撃当時、北朝鮮の砲兵が先制攻撃を敢行したにもかかわらず、韓国軍の「挑発原点打撃」により相当な被害を受けた点を思い起してほしい。北朝鮮が高速起動中に発射可能な放射砲を公開したことを、単なる「政治宣伝用のイベント」と判断するのはやや短絡的である。

北朝鮮は2005年女盟創立節(11月18日)を迎えた際、女盟員が集めたクズ鉄で製造されたとされる「女盟号」戦車を内部公開した。当時、咸鏡北道清津市内の広場で女盟員と学生を動員し、クズ鉄で製造された戦車20台を北朝鮮軍に贈呈する行事が開かれた。