北朝鮮の朝鮮労働党統一戦線部が党中央委員会10局に改編され、心理戦中心の機能を遂行していると、韓国の金暎浩(キム・ヨンホ)統一相が20日、ソウル市内で行われた記者懇談会で明らかにした。統一戦線部の再編について、韓国政府が公式に確認したのは今回が初めて。
統一戦線部は北朝鮮主導の南北統一に向け、韓国内部や海外に協力者網を構築する一方、南北対話の公式の窓口も担ってきた。
金正恩総書記は南北関係を「敵対的で交戦中の二つの国家」と規定し、国のあらゆる面で「南北統一」をうたうものを消し去る作業を進めており、同部の再編もその一環と見られる。
こうした動向についてある政府高官は「名前を変えたが、北朝鮮対南戦略の基本路線には変化がないと政府は見ている」とし「韓国に対する赤化政策には変わりがなく、その機能は維持されている」と付け加えた。
金正恩氏は昨年末に行われた党第8期第9回総会で「2国家論」を提唱し、統一戦線部をはじめとする対南事業部門の機構を整理、改編せよとの指示を下した経緯がある。また、今年1月の最高人民会議第14期第10回会議の施政演説では、「共和国民族の歴史から統一、和解、同族という概念自体を完全に除去しなければならない」とし、南北会談と南北交流業務を担当してきた祖国平和統一委員会と民族経済協力局、金剛山国際観光局を廃止する一方、祖父・金日成主席の遺訓の象徴とも言える「祖国統一3大憲章記念塔」も撤去した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面こうした動向について金統一相は「事実上、金日成と金正日を格下げする試みだ。北朝鮮内部で理念的混乱を呼び起こす可能性を排除できない」と話した。
なお、統一戦線部は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を傘下に置くなど、対日戦略を担った時期もあったが、その機能は外務省に統合されているというのが、専門家らの見方だ。