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北朝鮮では最近、人民生活公債、つまり国債を購入する見返りとして朝鮮労働党に入れてもらう事例が増えている。

10日、延吉で会ったチェ・ジュンヒョク(仮名、43)さんは、「2003年に公債を大量に購入した金持ちを対象に、公債を国に捧げる公債献納運動が大々的に繰り広げられている」と述べた。発行された公採の半数以上が、また国庫に納められたという。

チェさんは、「公債を国に献納した人々は、国から愛国者という称号とともに、証書と勲章を受け取り、それをきっかけに今までは(朝鮮労働党に)入党できなかった人々の中で、かなりの人数が入党できるようになった」と付け加えた。

かつてはエリートの最低条件だった労働党への入党だが、今では特にメリットはない。それでも、子どもたちの将来を考えても念の為に入党しておいた方がいいというのが最近の人たちの考えだ。チェさんは「党員になっても害になることはない、昔は入るのが大変だったが、今ではカネさえあればできないことはない」という金持ちの言葉を伝えた。

北朝鮮政府は2003年3月26日に開催された最高人民会議10期6次会議で、人民生活公債’の発行を決め、販売を始めた。2003年5月1日から2013年 4月30日までの10年満期で、500北朝鮮ウォン、1000北朝鮮ウォン、5000北朝鮮ウォンの3種類だ。

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専門家は、北朝鮮政府が国民のタンス預金をかき集めなければならないほど財政状態が悪くなったと見ていた。また、7.1 経済改善措置の後で、急激な賃金の引き上げで膨脹した通貨を調節する必要性のため、公債を発行したと分析した。

北朝鮮政府は、公債を発行し国民に買わせるために、様々な販売努力を行っている。

2005年に脱北して韓国にやってきたアン・ヤングンさん(31歳)は、公債が発行された当時のことを次のように語った。

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「当時、企業所や農場単位(協同農場)で、未成年者を除いたすべての人民が公債を購入することになった。1人あたり無条件で5000北朝鮮ウォンずつ買えと言われて、私と父も買った。あの当時も、公債を国に献納して党員になる事例が多かった。党員になる人々があまりにも増えたので、国も後から制限し始めた」

公債献納が増えているのは、北朝鮮政府の財政難によるものだ。当選金を支払えず、入党をエサに公債を国庫に戻しているというわけだ。

この当選金とは、公債を買えば利息ではなく、抽選で賞金があたる宝くじ型になっているからだ。当選者は元金と当選金を返してもらえる。

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当選金は7等級に分けられ、1000北朝鮮ウォン券を購買した場合、1等5万北朝鮮ウォン、2等2万5000北朝鮮ウォン、3等1万北朝鮮ウォン、4等5000北朝鮮ウォン、5等4000北朝鮮ウォン、6等3000北朝鮮ウォン、7等2000北朝鮮ウォンだ。

ハズレの場合は、2008年12月1日から毎年決まった金額を国家予算から償還金を捻出し、公債有効期間の2013年4月末まで元金を全額返す形だ。

政府は、抽選の公開性、客観性の原則にのっとって、2003年と2004年は半年に1回、2005年から2008年までは毎年1回抽選を行うとしていた。

これについてチェさんは「未だに抽選したという話は聞いたことがない」とし、「抽選して当選者にカネを払うというが、北朝鮮の現実では話にならない」と一蹴した。