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日本公園施設業協会は、遊具の安全基準として鉄製は設置から15年、木製は10年が目安としている。国土交通省の2019年の調査では、全国の公園などに設置されている39万2072基ある遊具のうち、20年以上経過しているものが19万4116基で、49.7%を占めていた。また、修理や撤去などの安全確保措置が必要なものは、7万2672基で、全体の18.5%になる。

遊具の老朽化が深刻なのは北朝鮮も同じだ。幼稚園では、老朽化した遊具で遊んでいた園児が怪我をして、保護者が激怒している。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

延社(ヨンサ)郡の邑(郡の中心地)にある幼稚園では、先月末から今月初頭にかけて、遊具での事故が相次いだ。設置されてから30年経った上にまともに管理されていない回転木馬にぶら下がって遊んでいた園児3人が相次いで落下し怪我をする事故が起きた。

この幼稚園にはかつて、複数の遊具が設置されていたが、ほとんどが壊れてしまってくず鉄として供出されてしまい、回転木馬だけがかろうじて残っていた。それもボロボロで一部しか残っていない。

(参考記事:北朝鮮が「くず鉄集め」に拍車…ロシアへの武器供給用か

非常に危険な状態ではあったが、それ以外の遊具が一切ないため、園児はそこにぶら下がって遊んでいた。そして、事故は起こるべくして起きた。棒が腐っていて園児の体重を支えきれず落ちてしまったのだ。

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怪我の程度は不明だが、病院に連れて行っても薬すらない状態で、結局は保護者が市場で薬を買い求めて、自宅で治療させている。幼稚園も上級機関の郡教育部も、責任を押し付けあいをするばかりで、結局は園児が悪いという結論を出して片付けてしまった。

重罰主義を取る北朝鮮では、責任を認めれば重い処分が下される。職を解かれるだけでは済まず、地域から追放され流刑地に送られることもありうる。最悪の場合は、人生が完全に終わってしまうかもしれない。そのため、責任をより弱い立場の人になすりつけようとするのだ。結局、誰のクビも飛ばなくて済む「園児の責任」ということにしたのだろう。

(参考記事:北朝鮮で「人望ある幹部」たちのクビが飛んでいる

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目に入れても痛くないほど大切な子どもにそんな扱いをされた保護者は怒って当然だが、地域住民も他人事ではないと考えて憤慨している。

「先月末に事故が起きたときに、(関係者の)誰も良心の呵責を感じず手をこまねいて見ているだけで、同様の事故が繰り返し起きた」
「事故が連続しているのだから、幼稚園の庭にある回転木馬はすぐに撤去するのが常識なのに、それすらもしていない」(地域住民)

だが、撤去にはそれなりの費用がかかる。そんな予算を持たない幼稚園は、子どもを人質に保護者に金品を要求するのは目に見えている。日々を生き抜くのに精一杯であるのに、そんな費用負担を押し付けられれば困る。保護者は結局、子どもの安全を心配しつつも、口をつぐんでいるしかないのだ。

(参考記事:金正恩の軍隊が中学生を殺害…背景に「学校の上納金」問題