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3月初めにデイリーNKは、北朝鮮住民の生活と民心の動向を把握するために、中朝国境地域である吉林省延吉と遼寧省集安で、北朝鮮住民6人とインタビューを行った。

中国に商品購入等の目的で訪れた住民らは異口同音に、金正日哀悼期間中は供給停止、商売の禁止、内部の移動制限などの三重苦に苦しんだと述べた。住民らは、平壌、咸鏡北道清津、咸鏡南咸興、両江道恵山、慈江道江界、黃海南道沙里院の出身の貿易機関労働者と商人らである。

一部地域では、哀悼期間を3月末まで延長するとの保安機関の指示が下され、極貧層が依存している路上商売が禁止されている。北朝鮮には、常設市場の商売人よりも路上商売人がはるかに多い。追悼の雰囲気を演出するために路地が第一規制対象となっているという。追悼期間には非社会主義的な行動を遮断し、秩序を維持するという名分である。

当局は、住民の生活の不便にもかかわらず、金正日追悼の雰囲気を新指導者への忠誠政局へと繋げる努力を行なっていることが分かった。また、李明博政権を非難する宣伝と教養が大幅に増えたという。

意外なのは、穀倉地帯である黄海道で食糧難が最も深刻だという事だ。黄海道では平壌にコメを空輸しており、中国とのビジネスも円滑ではなく、都市部では貧困層が食糧不足に陥っている。生活苦を悲観した家族の集団自殺も多発している。金正日追悼行事の欠席者への処罰は、3月初めまで行われたという。

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商売の規制で住民は悲鳴

市場の利用料も払えない路上商人らへの規制が特に厳しい。彼らは「これでは餓死しろと言っているも同然」と不満を述べている。金正日の誕生日(2.16)に全国的に商売の制限措置が解かれたが、一部地域では無許可商売を禁止するという名目で路上商売を禁止している。

平壌で貿易業を営む50代前半の男性は「3月末までを哀悼期間に指定して、公式な市場以外は、現在も徹底的に統制されている。平壌もほとんどの住民が商売で生計を立てているが、規制に対する住民の不満は高い」と伝えた。

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恵山の市場で商売をしている30代の女性は「哀悼期間に商売をすると、無秩序に見えるのでしてはならないという指示を受けた。悲しい心を持って金日成の太陽像を尋ねろというが、それも1〜2日の話ではないのか?安全員が統制するので仕方なく行ったが、空腹で倒れれば哀悼もできない。哀悼しながら飢え死にしろという事だろう」と述べた。

「追慕期間中に商売をすると、思想的に不真面目だとの扱いを受ける。幹部は『将軍様が死亡したのになぜ商売をするのか?食べる事しか頭にないのが問題だ』と言うが、率直に言って食べなければ悲しむ力も生まれないよ」と声を高めた。

咸興市場で卸売業をしている50代の女性は「指導者となった金正恩同志が国家を運営する事になり、社会を締めるしかないだろう。卸売業者が通行証を受け取るのが難しく、他の地域の人々との取引が困難な状態。住民に納品が出来ていないので、商売が全体的に萎縮している」と付け加えた。

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「哀悼期間の商売の冷え込みで暮らしはより大変に」

この女性は「金日成同志の誕生100周年、人民軍創立80周年が控えており、その後は規制が緩むと思う。今は準戦時状態の様で簡単に雰囲気が和らぐ永久思わない。特に、南の軍事訓練の影響からより締まっており、社会的にも住民がより緊張している」と強調した。

金正恩体制登場後も、平壌以外の地域ではほぼ配給が行われていない。一部の地域では金正日の誕生日に特別供給が提供された。住民は配給がないのであれば、生計を立てる為の商売は許すべきだと述べている。

清津市で貿易業を営む40代の女性は「商売が規制されているので、夜に商人を訪ねて米を購入した。住民が生活出来るようにしなくてはならない。生きていけないのに商売すら禁止するので、不満は高い」と伝えた。

この女性は「路上商人らには餓死しろというのも同然で、配給すらも与えないのだから。2月16日にお酒一瓶が与えられたのが全部だ」と話した。

生活苦によって、一部地域では高齢者や家族単位の自殺が発生している。

平壌の男性は「平壌でも食うことに困って親を殺し、本人が自殺したケースがある。必死で生きる人が多いので自殺する人は少ないが、若い人が絶望から自殺する場合がある」と述べた。

江界で商売をしている50代の女性も「明日の食べ物がなく、生きる事自体が苦痛。商売すら出来ないお年寄りが、子供に酷い扱いを受けるくらいならいっその事自殺を選択する人もいる。生活苦に陥った世帯主が借りたかねで肉と薬を買って、肉に薬を塗って心中したケースもある」と伝えた。

「こんな風に生きるくらいなら、いっそ死んだ方が良いと考えるのだろう。餓死も服毒自殺も死ぬのは一緒だと考えたのでは」と付け加えた。

沙里院の女性は「黄海南道の食糧事情が大幅に悪化している。栄養失調で死ぬ人も多い。南浦港に入ってきた米200トンを緊急配給したとの話もあるが、私は受け取っていない」と述べた。

「哀悼期間に失言すれば政治犯」

北朝鮮の各地にはまだ金正日の銅像がないため、金日成の銅像を訪れて哀悼の意を表した。住民が太陽像にて嘆き悲しむように組織的に動員し、これを守らない人は生活総和で批判され、安全員が出席をチェックしていた。

また、禁酒令と共に住民の一挙手一投足を監視し、哀悼の雰囲気に反する行動があると判断した場合には労働鍛錬隊や教化所に送るなど、容赦のない処罰が行われた。

清津の女性は「哀悼期間は一言も口にできないほどに統制が厳しかった。哀悼期間に酒を飲んだという理由で党書記が一般労働者になった」と伝えた。平壌で貿易業を営む40代の男性も「酒を飲んで失言したせいで逮捕された話もある。見せしめとして政治犯に仕立て上げられる事もある」と述べた。

咸興の女性は「追悼行事と関連して不満があっても抗議できない。運が悪いと追放や教化所、鍛錬所送りになるからだ」と述べた。

「夫婦の間でも率直に話を出来ないのが北朝鮮である。夫婦が喧嘩をしたり、仲が良くなければ、カッとなってチクリを入れる場合がある。哀悼期間に病院に入院した人は党から追い出され、追放までされた。悲しみを見せない人々の中には、教化所に送られた人もいる」と付け加えた。