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中国と国境を接する北朝鮮の新義州(シニジュ)のマンションで2月上旬、男女の遺体が見つかった。発見当時、2人は一切の衣服を身に着けていなかった。何が起きたのが現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

市内でも内陸に位置する楽元(ラグォン)機械連合企業所の職場長Aさんは、今月10日の旧正月を控えたある日の朝、出勤しなかった。同僚はAさんに何度も電話をしたが繋がらず、携帯メールを送っても返事がなかった。

同僚が自宅を訪ねると、Aさんの妻が応対したが、前日は家に帰ってこなかったという。それでも「午後には出勤するだろう」と思っていたそうだが、一日の作業が終わる時間帯になっても姿を見せず、総和(総括)の仕切りは、Aさんの代わりに副職場長が行った。

いくら連絡しても返事がなく、心配になった同僚は、企業所内の安全部(警察署)に通報した。安全部は、Aさんの自宅を訪ね、妻にAさんの行方に心当たりがないか聞いた。最初は口ごもっていたが、何度も聞き返したところ、ついに重い口を開いた。

「夫は不倫をしていて、相手の家に行っているかもしれない。子どもが傷つくかもしれないから隠していた」(妻)

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安全部は、市内の楽園洞(ラグォンドン)にある不倫相手Bさんの家に駆けつけ、ドアをノックしたが全く返事がない。そこで、人民班長(町内会長)立ち会いの下、強制的にドアを破った。すると、そこには2人の男女が倒れていた。

(参考記事:7人の男が「妻殺し」に走った北朝鮮“国境の町”の惨劇

2人は既に死亡しており、既に死後硬直が始まっていた。司法解剖の結果、死因は一酸化炭素中毒だと判明した。

北朝鮮では、暖房や炊事の燃料に、練炭を使うのが一般的だ。暖房は、焚口に練炭をくべて火を付け、暖まった空気を床下に這わせるオンドル(床暖房)だが、換気を怠ると死に至ることもある。また、床には油紙を敷いて、一酸化炭素が部屋の中に侵入しないようにするが、施工がきちんとしていなければ、漏れてしまうこともある。

(参考記事:冬の夜、北朝鮮の街で鳴る「死のベル」の音…就寝中の死亡が多発

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不倫相手との営みの最中に中毒死したであろう夫の亡骸を見たときの妻の様子を、情報筋は次のように伝えている。

「夫の死を悲しんで涙を流せばいいのか、スカッとしたと言えばいいのかわからない様子で、ボーッと立ちすくんでいた」

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

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職場のイルクン(幹部)は、AさんとBさんの不倫関係に気づきながら鼻で笑い、清算するようにアドバイスできなかったことを悔やんでいるという。また、職場内の朝鮮労働党委員会が、このことを知りながらも一切動かなかったことに問題があると批判した。

情報筋は、事件のおきた当日だけで、10人もの人が一酸化炭素中毒で病院に搬送され、今季に入って南新義州だけで20人が中毒死していると伝えた。

北朝鮮では、一酸化炭素中毒を防ぐために、人民班で見回り活動を行っている。しかし、今回は2人が死亡するまでに見つけることができなかったようだ。