「金正恩の娘は国産の服を着ろ」反発強める北朝鮮の若者たち

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校則違反のボンタンやスケバンスカートを、生活指導の教師にハサミでチョキチョキと切られる。

昭和から平成初期の不良中高生の間では、学校の制服をわざと変形させたものを着るのが流行った。男子の場合はニッカポッカのようにダボダボのボンタン、女子の場合は長いスケバンスカートが定番だった。教師は、それらをハサミで切り落として短くするという、今なら器物損壊に問われかねない乱暴なやり方で対処していた。

一方、韓国では1970年代、男性の長髪や女性のミニスカートが取り締まりの対象となった。スカートが膝上17センチ以上になっていないか、警察官がメジャーで測ったり、長髪を路上で切り落としたりと、非常に乱暴なものだった。

そんな馬鹿げたことを2024年になってもやり続けているのが北朝鮮だ。取り締まりは強化される一方だが、さしたる効果は表れていない。

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平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、新義州(シニジュ)市内で、社会主義生活様式にそぐわない南朝鮮(韓国)風のファッションや、言葉遣いへの取り締まりが強化されていると伝えた。

冬休みが終わったばかりの大学では、糾察隊(取り締まり班)が立ち上げられ、学生のファッションや言葉遣いまで事細かく取り締まっている。また、学期初めの生活総和(総括)の時間では、「傀儡(韓国)どもの言葉遣いを真似して捕まれば厳罰に処される」と警告がなされた。

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そんな話を聞かされた若者たちは、表では従うふりをしているが、裏では鼻で笑っている。

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本来は実の兄の呼称である「オッパ」を、年上の男性を呼ぶときに使う行為は、韓国風だとして取り締まりの対象になり、北朝鮮式に「トンム」と呼ぶように指導されているが、あまり効果はないようだ。

「恋人同士で『オッパ』と呼ぶのはダメだと取り締まっているが、国が言うとおりに『トンム』と呼んでいる若者はまず見かけない。取り締まりや統制で防げないほど、若者の間には南朝鮮文化が根づいている」(情報筋)

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若者たちは最近、国営メディアに頻繁に登場する、名前が「ジュエ」とされる金正恩総書記の娘と自分たちを比べて、反感を抱いている。

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「お嬢さまが高級そうな外国製の服を着ているのを見ると呆れる、と話す若者が多い。自分たちを取り締まる前に本人がまず、国産の服を着るべきではないかというのが若者の声だ」(情報筋)

北朝鮮は韓国を敵対国とみなし、反韓キャンペーンを繰り返している。今後、取り締まりがさらに苛烈を極めるかもしれないが、韓国文化に憧れを持ち、真似しようとする若者の情熱を抑えるのは簡単ではないと情報筋は見ている。

北朝鮮の若者は、旧世代とは異なり、上からの押しつけに従いつつも、内心では反発心を抱く。そして、裏では好き勝手にやっている。吊し上げや公開処刑で恐怖心を煽っても効果はさほど長続きしない。

そればかりか、知らないうちに韓国風に変わってしまっている北朝鮮の文化や習慣も少なくない。韓国の影響を受けた中国製のコンテンツも入ってくる。北朝鮮も、「韓流との闘い」にもはや勝ち目はないことに気づいているのかもしれないが、だからといって取り締まりをしなければ怒涛のように入ってきてしまい、体制を揺るがす事態になりかねないのだ。

(参考記事:命が危なくてもやめられない…再始動した北朝鮮の「韓流ビジネス」