「始まる前から暗雲」北朝鮮農業に危機的な展望

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「今年のわが国の農業には、始まる前から暗雲が立ち込めている」(情報筋)

北朝鮮は農業生産量の増大を目標に掲げ、昨年はそれなりに成功したようだが、それでも需要の半分に満たず、質も悪かったという。最悪の状態は脱しても国民は依然として飢餓に苦しみ続けている。

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現在、農繁期に向けて準備が行われているが、農業に欠かせない営農資材がまともに供給されていないと、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

平城(ピョンソン)市にある農村資材商事は、内閣から営農資材の供給任務を任された機関で、道内の協同農場に資材を供給する役割を担っているが、その倉庫がすっからかんとなりネズミが走り回る有様だという。上部機関の平安南道農村経理委員会も、中央資材商事もお手上げ状態だ。

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これについて情報筋は、「中央からの供給が麻痺した状況に伴う自然な現象」と説明した。

化学肥料は国内で生産を行っているものの、原料不足による生産中断がしばしば起こり、フル稼働したとしても国内の需要をすべて満たすには至らない。一部は人糞を使った堆肥を利用するが、結局足りない分は中国からの輸入に頼らざるを得ない。

また、ビニール幕などの一部資材は、国内生産ができず、全量を輸入に頼っている。

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サプライチェーンが動いていない理由について情報筋は言及していないが、各地方の貿易会社や業者が先を争って肥料を輸入していたコロナ前とは異なり、今は「国家唯一貿易体制」の下で、輸入そのものがコントロールされている。それが影響を及ぼしている可能性が考えられる。

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このままでは今年の農業生産に影響が出かねないが、当局は対策を打ち出せずにいる。以前のように貿易が比較的自由にできる体制に戻し、国内移動の規制を緩和すれば、ある程度は必要な資材が流通するようになるかもしれないが、それだけではすべての解決にならない。

そもそも、農場には資材を買うだけの予算がないため、ヤミ金業者から穀物を借りてそれを現金化して資材を購入し、秋の収穫後に2倍にして返す慣行が続いてきた。その悪循環を断ち切るためか、当局はコメの買取価格を大幅に上げた。農場の財政状況は以前よりマシになっただろうが、いざ資材を買おうにも物がない状態ではどうしようもない。

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問題はそれだけにとどまらない。すっからかんになった農村資材倉庫がごみ溜めになってしまうケースもあれば、犯罪の現場として使われるケースも現れ、深刻な社会問題になっているというのだ。

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道レベルの農村資材商事がこれなのだから、市や郡の資材供給所の状況はもっとひどいだろうと情報筋は見ている。ただ、他の地域の資材商事も機能不全に陥り、営農資材の深刻な不足が全国的な状況なのかは、今のところ確認できていない。