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米国の北朝鮮人権担当特使はロバート・キング氏が退任した2017年1月から空席だったが、バイデン政権によって指名されたジュリー・ターナー氏が今年10月13日から活動を開始。これにより、再び北朝鮮の人権問題に注目が集まる可能性が高まった。近年、北朝鮮国内での人権侵害の中でも特に問題視されてきたのが、女性の人権問題である。

北朝鮮のデイリーNK内部情報筋によると、今年の春、朝鮮人民軍のある女性中隊では、男性将校らが女性中隊員に「極端な薄着」で並ばせた後、練兵場を走らせ、その姿を見て笑うというできことがあった。しかし、女性兵士たちは直接的に暴行されたわけではないとして、上層部に通報することを考えなかったという。北朝鮮軍では、中隊は一般的に110人で編成されている。そのうち1人も、問題を提起しようとしなかったということだ。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

韓国デイリーNK編集局の記者たちの取材経験においても、北朝鮮の人々は性暴力について正確に認識できていない例が多いという。そうした教育を学校においても社会においても、そもそも受けていないのだ。北朝鮮の女性軍人の人権問題を取材する過程でも、当事者は「性的暴行」「セクハラ」という単語の意味をよく理解できず、違う単語に置き換えて繰り返し説明しなければならなかったとのことだ。

北朝鮮では、女性も高級中学校(高校)を卒業する17歳になると、兵役対象者となる。

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この時、経済的に余裕のある家庭では娘を軍に行かせないために、あるいは服務環境が比較的マシな部隊に配置されるようワイロを方々に配るのが当たり前になっている。反面、家庭環境の苦しい女性たちは兵役を通じて朝鮮労働党への入党の機会を経て、社会的地位を上昇させようとの目的をもって入隊する例が多い。

軍において、この両者の立場の差は天と地ほども大きい。

お金や権力がある幹部の家の娘たちがトラブルに巻き込まれれば、直ちに調査団が構成され加害者は厳しい処罰を受ける。だから誰もあえて手を出そうとしない。

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しかし貧しい家の子供たちは誰も守ってくれないので、標的になりやすいのだ。さらに、入党を目標している場合、推薦の権限を握る上官に足元を見られやすくもなる。

それでも、事件の内容が深刻で事案が噂として部隊の内外に伝われば加害者処罰がなされ、注意喚起の目的で総参謀部が問題視された事件の内容を思想学習資料に盛り込んで幹部たちに配布することもあるが、これも一時的な措置にすぎないのだ。