中国に派遣された北朝鮮労働者の数は、昨年11月に行われたPCR検査の結果から遼寧省丹東だけで8万人、他の地域を含めると10万人に達すると見られている。
その8〜9割は女性だが、彼女らを管理する立場の人間は男性だ。そんな上下関係を利用した性暴力が横行している。中国のデイリーNK情報筋が伝えた。
遼寧省のある工場で働いていた20代半ばの女性が、食事が取れなくなり仕事にも支障をきたすほど体調が悪化した。心配した同僚は、外部の医療機関で診察を受けさせたところ、妊娠していたことがわかり、中絶手術を受けた。
工場を担当する保衛指導員が調査を行った結果、労働者を管理する某男性幹部により数回にわたって性暴力を受けていたことが判明した。加害男性が被害女性に補償金を支払うことで事件はもみ消されたが、「性暴力被害は女性の落ち度」とする北朝鮮の風潮を考えると、被害事実は女性に一生ついてまわるだろう。
上述の通り、北朝鮮労働者の多くが女性で、少数の男性幹部により管理される。少なくとも200人の女性が、2〜3人の男性幹部により管理されているケースが多いのだが、彼女らは自由な外出すらままならず、中国で厳格なゼロコロナ政策が敷かれていた状況下では、ほとんど「密室」とも言える環境に置かれていた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面その後も、寮と職場を行き来するだけの閉鎖した空間に置かれており、生活上の困ったことや悩みを解決するにはこれら幹部に話すより他ない。
(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為)
また、賃金や党資金(国に納める上納金)など現金に関する管理もすべて男性幹部が行っている。女性たちは、そうした立場を悪用した「性上納」強要のリスクに常に晒されている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面万が一被害に遭った場合でも、通報するシステムも救助を求める手段もないため、ほとんどが闇に埋もれてしまう。