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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮で最近、金正恩総書記の身辺警護を務める護衛司令部の候補生である「6課対象」の選抜を巡る贈収賄が明らかになり、問題になっていると報じた。

金正恩氏のためなら命を平気で投げ出すほどの、極めて高い忠誠心を求められる職業だが、実のところ完全無欠な人材ばかりを集められるわけもない。

2021年3月には、山奥の村で女子高生が殺害される事件が発生し、その残忍な手口と犯人の正体が、地域社会に衝撃を与えた。

事件が起きたのは、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の明川(ミョンチョン)。核実験場があった吉州(キルチュ)郡の豊渓里(プンゲリ)から、山を一つ隔てたところにある。

郡の安全部(警察署)近隣のマンションの近くで3月28日夜、帰宅途中だった17歳のヤンさんが、男に襲われ性暴力を受けた。彼女は大声で助けを求めたが、それに逆上した犯人によって惨殺された。

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(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

しばらくして逮捕されたのは20代のリ容疑者で、兵役中には「974部隊」に配属されていたという。

同部隊は金正恩総書記の警護にあたる超エリート部隊であり、配属には思想や成分(身分)に問題がないことが求められるのはもちろん、一時帰宅はおろか家族への連絡すら許されていない。2018年4月の南北首脳会談で、金正恩氏の車の周りを囲み並走しつつ警護していたのが、この部隊のメンバーだ。

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しかし、彼はその「晴れの場」にいなかった。2015年5月に生活除隊させられたからだ。何らかの問題を起こして、不名誉除隊の処分を受けたということだ。

通常の部隊に勤務していて生活除隊で戻ってきた者は、村の人々から白い目で見られるにとどまらず、社会生活を送るに当たっても様々な不利益が生じる。だが、最高指導者と会ったことがあるというだけで「謁見者」として特別扱いされるお国柄だ。金正恩氏の警護に当たっていた彼は、生活除隊であっても逆に特別扱いされ、待遇の良い職場に配属された。

しかし、彼が本性を現すまでにそう時間はかからなかった。故郷に戻った2015年のうちに、職場の同僚に性暴力を振るい、6ヶ月の労働鍛錬刑(懲役刑)を受けた。2017年にもまた同様の事件を起こし、1年5ヶ月の教化刑(懲役刑)を受けた。

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そして今回の事件。情報筋は、判決について触れていないが、銃殺などの極刑ではなく、比較的軽い刑で済まされる可能性もなくはないだろう。問題のある人物なのに、超エリート部隊に入隊できたのは、強力なコネと財力を持った家族の出であることが考えられるからだ。