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北朝鮮の金正恩総書記は3~4日に行われた第5回全国母親大会で開会の辞を述べ、「出生率の低下を防ぐべき」と言及した。韓国統一省によると、2023年現在の北朝鮮の人口はおよそ2千616万人。しかし、来る2034年からは人口が減少するものと予想されている。

北朝鮮の人口減少の背景には食糧難などによる「生きにくさ」とともに、兵役時に軍隊内で性暴力にさらされた女性兵士らが体に変調をきたしている事情があると、脱北前に北朝鮮で医師を務めていた高麗大学公共政策研究所のチェ·ジョンフン先任研究員が指摘している。

デイリーNKの北朝鮮軍内部の情報筋によれば、第4軍団傘下の師団で政治部長を務めていた40代のキム上佐(中佐と大佐の間の階級)は、政治部長に任命された2018年から最近まで、女性兵士に対して様々な性暴力を繰り返してきた。犯行が4~5年にわたったことを考えれば、被害者は40~50人以上の規模になると思われる。

2021年初めからは、師団直属の中隊で勤務し、除隊(兵役満了)を控えた女性兵士に、いわゆる「除隊前悩み相談」を行ってきた。これは、自分の部屋に女性兵士を呼び、除隊後の生活について話し合うものだが、その場で「(朝鮮労働党への)入党をしてから家に帰りたくないか」との言葉をかけ、性上納を強いていた。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

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軍を除隊して得られるメリットは、朝鮮労働党への入党と大学進学だが、それには推薦状が必要となる。それと引き換えに性上納を迫る行為は、決して珍しくない。

だが、ここで問題が発覚した。被害女性が妊娠したのだ。朝鮮人民軍では、一般兵士が服務期間中に恋愛、結婚することが禁じられており、発覚すれば鑑定除隊(不名誉除隊)を強いられる。当然、彼女も調査の対象となり、軍団指揮部に報告されたが、その過程でキム上佐の名前が浮上、緊急逮捕に至った。

その場の状況について情報筋は「以前ならば党的処罰や降格で済まされていただろうが、今回は多くの兵士の目前で、幹部(キム上佐)の手に手錠がはめられて連行され、皆を驚かせた」と証言した。

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上述の通り、このような性暴力は常態化していたが、軍団当局が事態の深刻さを認識し、幹部に警鐘を鳴らす目的でキム上佐を見せしめとして処罰したというのが、情報筋の説明だ。